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月面衝突閃光 協働観測キャンペーン

流星観察会 月面衝突閃光協働観測キャンペーン

月面衝突閃光と衝突後の月面


月面衝突閃光を協働で観測する意義

月はどの場所からも同じように見えるはずです。なぜ月面衝突閃光を同時に観測するのでしょう。

まず、月面衝突閃光はどこで発生するかを予測することは困難です。月探査機など人工天体であれば観測時間や観測領域を限定できますが、宇宙を漂う天然の小石は、数mから数十m以上の比較的大きなものでない限り、事前に衝突を予測することはできません。日常的に月を観測し続ける必要があり、観測者への負担が大きく、観測場所の天候にも左右されます。また月が昇っている時間は観測場所によって異なるため、1カ所の観測では限られた時間しかモニタリングできません。地球の経度の異なる場所で観測できれば、常に月面上を監視することができます。アメリカやヨーロッパは月面衝突閃光の観測が盛んですが、アジアやオセアニア地域の観測拠点は少なく、日本での観測は重要です。

加えて、月面衝突閃光はほとんど点光源であるため、他の光源との区別が難しいです。月の夜の映像を、ドライブレコーダーのように前後の変化を捉える動体検知をしてみると、数分から数十分おきに点光源が見つかります。ほとんどが宇宙などから降り注ぐ、天然の放射線によるものです。放射線がカメラのセンサにぶつかると、白いドットとなって、あたかも衝突閃光が起こったかのように見えてしまうのです。1カ所からの観測でも、放射線ノイズと月面衝突閃光を見分ける方法がありますが、他の観測場所でも同じ時刻、同じ場所に観測できていれば、より衝突閃光の確度を高めることができます。

他にも、月面上に通過する人工衛星が悪さをすることがあります。月面衝突閃光を観測できるのは、基本的には夕方か明け方なので、月面上を多くの人工衛星が通過します。一定の明るさで太陽の光を反射している人工衛星であれば、衝突閃光と見分けはつきますが、一時的に明るくなるフレアを起こす人工衛星の場合は、見分けがつきにくいです。数kmから数十km離れた観測場所のデータがあれば、月面上から離れた位置に人工衛星が通過するか、反射の条件が変わってフレアが起きなくなります。複数の観測場所から同じように写っているか確かめることによって、月面衝突閃光の有無をよりはっきりとさせることができます。

放射線によってカメラセンサに一瞬現れるドット

放射線によってカメラセンサに一瞬現れるドット