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平塚市博物館流星観察会

平塚市博物館 流星観察会

流星観察会のカメラで捉えた流星と軌道解析結果


流星の故郷を探す方法

異なる場所で同じ流星を撮影したとき、背景に写る恒星の位置がずれます。これは、私たちが両目で物を見るときに、それぞれの目に映る像のずれから物体の距離や立体感を認識するのと同じ原理です。流星の映像から恒星の位置ずれを分析すると、流星の元である小石や砂が地球の大気中でどのくらいの速度で燃え尽きたか、どのくらいの角度で突入してきたかといった詳細な情報を得ることができます。

また時間を遡ることで、小石や砂が太陽の周りを回っていた軌道や、地球の大気へ突入する前の位置を推定することが可能です。逆に、時間を進めることで、小石が燃え尽きずに地上に到達した場合、どこに着地した可能性が高いかを予測することができます。

観測に使用しているカメラ

流星の映像は、動体検知と連続録画の2種類の方法で撮影しています。

動体検知用のビデオカメラには、流星観察会で作製したビデオカメラ「流星号」を主に使用しています。「流星号」は、高感度な1/2.8インチCMOSセンサーと焦点距離4mmから8mmの固定焦点レンズを搭載し、30fpsの動画撮影が可能で、プラスチックケース製の ハウジングに収納することで雨や風からカメラを保護しています。カメラは家庭のベランダや軒下から南向きの空に向け、長焦点レンズのカメラは伊豆大島上空100km、広角カメラはやや仰角を下げて御蔵島上空100kmを協働観測視野としています。

連続撮影用のカメラには、アトムテック社のネットワークカメラATOM Camなどの、ネットワークカメラを使用しています。低価格なカメラですが昼夜を問わず必ず録画できているので、昼間の流星や動体検知では捉えにくい現象も撮影することができます。

観測と解析の手順

カメラから出力される映像はPCに取り込み、SonotaCo氏が開発したリアルタイム動体検知ソフトウェア「UFOCaptureV2」や「UFOCaptureHD2」を用い、常に空の変化を検知しています。宇宙放射線や人工衛星など流星以外が写り込んでいる動画を削除したら「UFOAnalyzerV2」や「UFOAnalyzerV4」を用いて、流星の位置、等級などを測定し、最後に「UFOOrbitV2」を使い流星の軌道を計算しています。 一部のカメラは、Croatian Meteor Networkが開発したGlobal Meteor Network(GMN)の観測システムも使用しています。

2020年8月21日22時33分に相模湾沖を流れた火球

各方角に向けているカメラの視野

各方角に向けているカメラの視野(UFOAnalyzerによる表示)