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自然探偵とドバトのくらし<タイトル> 平塚市博物館公式ページ

自然探偵シルエット      自然探偵とドバトのくらし (2008.2)

ドバトの群れ

博「ねえ、探偵。よく公園なんかにハトがいるでしょ。あれってスズメとかカラスみたいな野鳥なの?」
物子「博君、なんにも知らないわね。あのハトは人が飼っているのにきまっているじゃない。餌(えさ)だってみんなであげてるし。」
探偵「公園にいるハトはドバトと言ってね、もともとは人間が飼っていたものが逃げ出して野生化(やせいか)したものなんだ。」
博「じゃあ、野鳥とは言えないわけだね。それとも昔は、日本でも自然に見られたの?」
探偵「いや、ドバトのルーツは、カワラバトという種類で、地中海地方を中心に分布している。それをいろいろな目的で人間が飼いならしたのが飼い鳩(かいばと)、それが野生化したのがドバトだね。」
物子「今、探偵、いろいろな目的と言ったわね。世話をして楽しむ以外に目的があるわけ?」
探偵「飼い鳩くらい、いろいろな目的で飼われた鳥は珍しいね。ハトは、自分の巣の場所を覚えてそこへ帰る能力が高いので、それを利用したのが伝書鳩(でんしょばと)だ。昔はハトの足に容器をつけて手紙を運ばせていたんだよ。それを軍隊で使うこともあったし、田舎に取材に行く新聞記者が記事を送るために連れて行った時代もあった。電話が十分発達していなかった頃の話だね。大きな新聞社の屋上には、どこにも鳩小屋が作られていたというよ。伝書鳩から発展したのが、レース鳩だ。何百キロも離れた場所からハトを飛ばして、巣に戻ってくる時間を競うレースが今でもさかんに行われている。今、飼われているハトの大部分は、このレース鳩だ。」
博「鳩のレースって聞いたことがあるよ。途中で、タカに襲われたり、道に迷っていなくなることもあるんでしょ。」
探偵「飼う目的に話を戻すと、見て楽しむものもあるし、食用もあるよ。」
物子「げっ、ハトを食べる人がいるわけ?」
探偵「日本ではあまりハト料理は食べないけど、ヨーロッパや中国では、肉屋さんでも売っているらしいよ。」
博「国によって文化もさまざまということだね。ところで、探偵、さっきから気になっていたんだけど、ドバトってどういう字を書くの?土鳩かな。」
探偵「土鳩だと思っている人が多いけど、実は堂鳩と書く。お寺なんかでもよく飼われていたので、この字があてられたというよ。」
物子「復習だけでど、ドバトというのは、カワラバトを飼いならした飼い鳩が野外に逃げ出したものということね。」
探偵「その通り。逃げ出したもののほとんどは伝書鳩やレース鳩で、野外で子育てをしているハトも多いから、飼われたことのないハトも多い。そういう状態だから野生化という言葉を使うんだ。カワラバトは外国の種類だから、外来種という見方もできるね。」


ドバトの自然分布
カワラバトの自然分布
『A Guide to the Pigeons and Doves of the World』
(David Gibbs ほか著/Pica Press) による。 

探偵「というわけで、今日はドバトについていろいろ紹介していこうね。」
 
  → ドバトの色と模様
  → ドバトの行動/観察のポイント
  → ドバトのねぐらと巣
  → ドバトの餌付け

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