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第39回 平塚空襲 その3(平塚空襲の焼失状況) (2012年8月号)


 前回は、平塚空襲で投下された焼夷弾をみました。今回は平塚空襲による地域の焼失状況をみていきたいと思います。
 平塚空襲は、東海道(旧国道1号線、現湘南スターモール)の商店街にあった旧飯島デパート付近(現まちかど広場付近)に置かれた爆撃中心点から半径1.2㎞以内の範囲(半数必中界)に、搭載した焼夷弾の50%以上を落とす計画で実施されました。その結果下図のような焼失被害が確認されています。

平塚市全図と7月16日空襲の被災状況

被災状況図(PDF)


 これによれば、焼失被害は半数必中界内の市街地のみならず、爆撃中心点から3.6km円付近にある集落にまで被害が出たことがわかります。すべての爆撃機が半数必中界に焼夷弾を投下できたとは限らず、そこからそれて投下された焼夷弾もあったため、周辺地域にも被害が生じました。
 また、市中心部では数機の爆撃機の飛行コースが重なるため、何波もの投弾が繰り返され投下密度がいっそう高まるうえに、家屋の密集地帯でもあるため、延焼を止められず「火事場風」が巻き起こるような火災の飽和状態となり、南北の家屋が少ない地帯で焼け止まる様子がうかがえます。
 さらに、家屋が少なく、図上では焼失地域となっていないところでも、爆撃中心点からの距離に応じた投弾量がありました。体験者の証言によれば、海岸の松林、東西の川岸などには中心部に匹敵する投弾密度があり、家屋がないために火災こそ発生しませんでしたが、市街地の火災の難を逃れた人々へ焼夷弾が直撃するという被害が確認されています。


【参考文献】
 夏期特別展図録「市民が探る平塚空襲-65年目の検証」平塚市博物館 2010年

 

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