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最終更新 2005年3月

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火山岩類2 (鉄平石)


 鉄平石は、3cm程度の厚さに平たく割れる性質を持った石材を言います。溶岩が冷却する過程で板状の割れ目(節理)の発達した安山岩に、こうした鉄平石がよくみられます。長野県から産出する信州鉄平石はその代表で、諏訪から産出する諏訪鉄平石と佐久から産する佐久鉄平石などがあります。その他、結晶片岩の鉄平石もありますが、そちらは変成岩の項で紹介します。

諏訪鉄平石の接写 諏訪鉄平石の小端積みの門袖
▲諏訪鉄平石( 複輝石安山岩 ) ▲諏訪鉄平石の小端積みの門袖
  長野県諏訪市上諏訪福沢山   平塚市中原1丁目
  更新世 霧ヶ峰火山岩類   
 信州鉄平石は、3cm程度の厚さに平たく割れる、板状節理の発達した複輝石安山岩で、長野県から産出する鉄平石の総称です。諏訪から産出する諏訪鉄平石と佐久から産する佐久鉄平石などがあります。両者とも乱貼りや小端積みの門柱・石塀・敷石・外装などに大量に利用されています。
 諏訪鉄平石として知られる安山岩は、霧ヶ峰高原南西麓の諏訪市福沢山や唐沢山地域に分布する、カンラン石複輝石安山岩(霧ヶ峰第Ⅰ期下部火山岩類)です。霧ヶ峰火山群は、白樺湖から美ヶ原へ至るビーナスラインの通る車山・鷲ヶ峰・和田峠などの山々を作る岩石です。車山は霧ヶ峰火山群の最末期に噴出してできたもので、山頂南側の急崖は爆裂火口といわれます。和田峠付近には流紋岩や黒曜石の溶岩が分布し、石器時代から縄文時代にかけての石器の原産地として重要な役割を果たしました。この黒曜石の噴出年代は星ヶ塔のものが 130-140万年前、和田峠のものは約85万年前と測定されています。
 諏訪鉄平石は灰〜青灰色の色調をもつ複輝石安山岩で、斜長石や輝石の斑晶が目立ちます。表面(節理面)の色調は灰〜褐〜暗灰色を呈します。   
諏訪鉄平石の採石場 小端積み用の鉄平石を切る
▲諏訪鉄平石の採石場の板状節理 ▲小端積み用の佐久鉄平石を切る
  諏訪市上諏訪福沢山   長野県佐久穂町余地板石山
佐久鉄平石の接写 佐久鉄平石の敷石
▲ 佐久鉄平石(輝石安山岩 ) ▲ 佐久鉄平石の敷石
  長野県佐久穂町余地板石山   平塚市平塚4丁目 平塚の碑,
  平尾富士安山岩類 中新世   
  佐久鉄平石は色調が諏訪鉄平石よりも鮮やかなものが多く、薄紫〜赤褐〜褐〜緑灰〜濃緑などを呈するのが特徴です。諏訪鉄平石よりも細粒であり、黒色の輝石の斑晶はほとんど目立ちません。佐久穂町余地の板石山の採石場では山頂に20m程の厚さで安山岩溶岩が露出し、北西へ20度程傾く板状節理が顕著に見られます。
丹波鉄平石の接写 丹波鉄平石の外壁
▲丹波鉄平石(流紋岩質溶結凝灰岩) ▲丹波鉄平石の外壁
  兵庫県篠山市今田町産   平塚市中里
  有馬層群平木溶結凝灰岩層 白亜紀 7000万年
  ベージュ系〜乳白色の色調を持った石英斑晶の多い岩石で、信州鉄平石に比べて粗く、色調も異なります。風化面は暗褐色で、この色調の方が好まれます。板状節理の発達した火山岩にみえますが、角閃石黒雲母流紋岩質の溶結凝灰岩です。正長石がやや肌色がかっており、顕微鏡下では石英は著しく破砕されています。兵庫県三田市大川瀬〜氷上郡柏原町石戸にかけて南北に広く分布し、白亜紀後期の有馬層群平木溶結凝灰岩層に属します。放射性年代(k-Ar年代)は有馬層群上部で6700万年前、下部で7100万年前が得られています。有馬層群は東西100km、厚さ2000mに達する大規模な火砕流噴出物です。信州鉄平石と同様に利用されます。
スケールバーは1cm


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