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 「相模川の生い立ちを探る会」

大地の声を聞く(5)


 ここでは、「相模川の生い立ちを探る会」に参加している会員の方々が大地に触れ、感じとった大地の声を聞いてみましょう。

河川争奪
 高取山山頂の展望台に登り、遠くの山や台地を鑑賞しながら地形解説を受けた。「津久井町あたりの台地には、現在小さな串川が流れているだけだが、このような小河川で、あのような大きな台地は形成されるはずが無く、かつてそこには中津川が流れ、城山で相模川に合流していた。さらに古くは、相模川は御殿峠を超えて多摩川に注ぎ、東京湾に流れ込んでいた。しかし、地殻変動の結果流路を変え、相模湾に流れ込むようになったと考えられる。このような河川同士の上流据え替えを“河川争奪”と言う」とのこと、実際に地形を目の前にしての説明は理解しやすく、納得できるものだった。(Y.T..)
河川争奪の地
かつて中津川が串川に流れていたことを示す韮尾根の広い段丘
デイサイト質細粒凝灰岩 勾玉の原石
 勾玉と言えば、翡翠の素晴らしい緑色半透明の石が最高ですね。確かに出雲大社の翡翠の勾玉はあまりにも有名です。しかし翡翠とまではゆかないが、素敵な淡緑色の勾玉になる石が、七沢温泉の近くで見つかるのです。日向薬師バス停から日向薬師に向かい、弁天の森キャンプ場へと足を進めると、途中の露頭から淡い緑色のデイサイト質細粒凝灰岩と言われる勾玉になる石の露頭が見つかるのです。さらにこの先のキャンプ場では、セラドナイト質軽石凝灰岩と言う青緑色のきれいな石も見つかります。こうした石を採集して、皆さんも太古の昔に戻って丹沢産の勾玉作りに挑戦してみませんか。(K.Y..)
勾玉の材料になるデイサイト質細粒凝灰岩
■丸岳からの地形展望
 箱根火山の古期外輪山である丸岳からは、3000年前に水蒸気爆発を起こした中央火口丘の神山の大崩壊部が正面に見え、大量の岩屑なだれが扇状に広がるように流れて早川を堰き止め、芦ノ湖を誕生させた様子が良く読みとれます。その後2900年前に活動した冠ヶ岳は、その火道が溶岩岩尖として残り、崩壊斜面を突き抜けて頭を出しています。白い蒸気を見せているのは大涌谷です。箱根火山が活火山であることがわかります。そのエネルギーで周辺地域に温泉を供給し、硫黄や石膏などの鉱物も晶出させています。また、温泉池では10分ほどで黒卵が茹で上がるそうです。(M.I.)
神山の岩屑なだれの扇状地地形
芦ノ湖をつくった神山の岩屑なだれの扇状地
トーナル岩の白と富士玄武岩の黒 ■川原の白い石と黒い石
 探る会で御殿場線の谷峨へ行きました。ここは丹沢から流れてくる河内川と富士の裾野から来る鮎沢川が合流して酒匂川となる地点。丹沢の白いトーナル岩の石と、富士山の黒い玄武岩の石とが川の両岸に見える。川原に下りて転がっている石を観察。白いのも灰色のも黒いのもいろんな色の石があった。ちゃんと数を数えてみれば違いが明確に分かるんだろうな。帰路、246号線の道路の上から川原を覘いてみた。川原の石は右岸と左岸とではっきりと白黒の色分けがされていた。細かく観察すべきところと、大きく捉えて観察すべきところと両方を見ると地質が見えるんだなぁ。(I.Y.)
河内川の白い石と鮎沢川の黒い石がはっきり見える
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