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 「相模川の生い立ちを探る会」

大地の声を聞く(3)


 ここでは、「相模川の生い立ちを探る会」に参加している会員の方々が大地に触れ、感じとった大地の声を聞いてみましょう。

■ 秦野の湧水
 秦野駅の周辺には多くの湧水があり、秦野湧水群として、日本名水百選に選ばれています。現地に行くと、地層の中から水がしみ出すように湧いていたり、井戸から自噴しているのをみることができます。こうした湧水は、秦野盆地の扇状地を作る礫層を流れてきた地下水が、扇状地の先端で湧きだしているのです。秦野盆地を流れる水無川は、約3万年前までは、葛川へ流れていたそうですが、渋沢断層の活動によって流路が次第に東へ移動し、金目川と合流するようになったと言われます。自然の恵みである水は、川の流れの変遷にも深く関わっているのですね。(M.I)
弘法の清水
秦野駅近くにある弘法の清水湧水
三浦半島の火山豆石
相模湾の火山からもたらされた火山豆石(三浦市荒崎)
■火山豆石の不思議
 三浦半島には凝灰岩の地層の中に直径1㎝前後の茶色の火山豆石が含まれていることがある。この丸い球が過去の火山の様子を語りかけてくるなんてなんたる驚きだろう。以前から火山豆石は知られていたが、その成因については雨の化石などといわれていたらしい。最近の研究の成果では、火山豆石は相模湾にあった海底火山からもたらされたらしい。マグマが海面近くに出てきて水と触れたとき、火山は最も激しく大爆発をする。その時吹き上げられた火山灰が岩片などを核にして成長し、年輪のある球に火口の上で成長する。たかが1㎝位の球にこんなロマンが隠されている。地層は我々人間が存在していない太古の古文書として我々に話しかけてくるのだ。 (M.G.) 
■動く大地
 
生まれ育った瀬戸内地方には、山がなだらかで、白砂青松の海があり、塩田もあちこちに見られました。ところが、こちらに住むようになって、丹沢の山並が険しく、海は砂が青黒く、波が立つと濁ってしまうのに驚きました。その後、博物館の探る会で、丹沢の隆起量が数1000mにも及ぶこと、海の砂が青黒いのは丹沢の岩石粒子のせいであることを知り、また、平坦な平塚で箱根火山の噴出物が200mもの厚さで堆積していること、5万年前に箱根火山から噴出した火砕流が平塚を覆い横浜まで達したこと、芦ノ湖は僅か3000年前の神山の崩壊でできたこと等を教わり、大地の変動の激しさにまたショックを受けました。毎回、新しい発見があり、これだから観察会は止められません
。(M.K)
平塚海岸の砂はどこからきたか
平塚海岸の砂はどこから来たのだろう
神縄断層の露頭
中津川沿いの神縄断層の露頭を観察
■プレート境界・神縄断層
 西丹沢の中津川は伊豆半島が丹沢山塊に衝突した際のプレート境界である神縄断層に沿って流れています。谷間に降り立つと、伊豆側の足柄層群礫岩に丹沢側の凝灰岩が逆断層で乗り上げている現場に出くわします。伊豆半島を形作るフィリピン海プレートの岩盤と、先に衝突して本州側のユーラシアプレートの一部となっていた丹沢山塊の岩盤がギリギリとせめぎ合って生じた亀裂です。木の葉のざわめきとせせらぎの響きだけに満たされた空間で、今、この瞬間も猛烈な圧力を受けているはずの大地のきしむ音が聞こえたような気がしました。(KH)
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