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「相模川の生い立ちを探る会」 活動の記録

第265回 2015年3月14日 厚木市鳶尾団地~鳶尾山~まつかげ台



■ テーマ:鳶尾山の地形と地層
■ コース:厚木市鳶尾団地バス停-鳶尾山ハイキングコース-観光展望台-鳶尾山山頂-まつかげ台バス停-本厚木駅

 今回の巡検の目的は、丹沢衝突時のプレート境界であり、現在は丹沢山地と関東山地を境する藤野木-愛川構造線の東側に位置する鳶尾山に登り、深海堆積物の砂岩・頁岩層からなる付加体である相模湖層群を観察することと、山頂からの地形展望をすることでした。
 鳶尾団地の鳶尾山ハイキングコース入口から階段を上っていく途中から、丹沢山地東部をなす大山から三峰山にかけてや、さらにその東部を南北に連なる荻野高取山、経ヶ岳、仏果山の山並みがよく見え、その間の谷間に東沢東縁の牧馬-煤ヶ谷構造線が走っていることを解説いただきました。
 なだらかなハイキング道を進んでいくと、前方に観光展望台のらせん階段が見えてきました。地元の人たちはこの場所を「小鳶尾」、鳶尾山山頂を「大鳶尾」と呼んでいるようです。展望台からは、北方の多摩丘陵、東方の相模野台地の段丘地形(高位から順に相模原面、中津原面、田名原面、陽原面)、南方の藤野木-愛川構造線、東方の丹沢山地と、ほぼ360度の展望が得られました。
 展望台をすぎ、少し下ってから、鳶尾山山頂へと登っていくと、北東方向の中津原台地や関東山地東縁、多摩丘陵の展望ができました。鳶尾山山頂にある三角点は、神奈川県には8つしかない一等三角点の一つで、さらに、三角測量の測量原点となった相模野基線を基準として、最初に三角測量が行われたものであるとの説明を聞き、大変重要なものであることを知りました。その後、ハイキングコースを北西に進み、まつかげ台方面に進みました。
 鳶尾山周辺の相模湖層群はおよそ3千万~4千万年前に堆積し、その後大陸に付加した砂岩、頁岩の互層からなり、概ね北東傾斜を示していました。小鳶尾から大鳶尾までの間で観察した露頭は縮緬(ちりめん)状風化が進んでいました。まつかげ台へ下る道に入ると、一部の露頭では激しい変形をこうむっている様子が見られました。どのような応力を受けて変形したかを知るためには、褶曲軸の方向を確認しなければいけないと解説がありました。
 今回の観察で、付加体の褶曲変形構造の複雑さを実感しました。あいにくの曇り空で、素晴らしい景観とはならず残念でした。(N. S.)
                    

丹沢山地東縁の山並みと、その東を走る藤野木-愛川構造線を望む(厚木市中荻野 鳶尾団地 鳶尾山登山道入り口) 頁岩からなる相模湖層群の露頭(厚木市中荻野 鳶尾山登山道 観光展望台南)
▲丹沢山地東縁の山並みと、その東を走る藤野木-愛川構造線を望む(厚木市 鳶尾山登山道入り口) ▲頁岩からなる相模湖層群の露頭(厚木市 鳶尾山登山道 観光展望台南)
小鳶尾にある観光展望台へ向かう(鳶尾山登山道 観光展望台南) 観光展望台から、中津川沿いにみられる中津原段丘の段丘面と段丘崖を望む
▲小鳶尾にある観光展望台へ向かう(鳶尾山登山道 観光展望台南) ▲観光展望台から、中津川沿いにみられる中津原段丘の段丘面と段丘崖を望む
観光展望台から、丹沢山地東縁部に走る藤野木-愛川構造線を遠望する 相模湖層群の砂岩-頁岩互層の露頭を観察する(厚木市棚沢 鳶尾山登山道 観光展望台北西)
▲観光展望台から、丹沢山地東縁部に走る藤野木-愛川構造線を遠望する ▲相模湖層群の砂岩-頁岩互層の露頭を観察する(厚木市 鳶尾山登山道 観光展望台北西)
鳶尾山山頂より中津原段丘や関東山地東縁、多摩丘陵を望む(厚木市棚沢 鳶尾山山頂) 三角測量の原点になった一等三角点(厚木市棚沢 鳶尾山山頂)
▲鳶尾山山頂より中津原段丘や関東山地東縁、多摩丘陵を望む(厚木市 鳶尾山山頂) ▲三角測量の原点になった一等三角点(厚木市 鳶尾山山頂)
激しい変形をこうむっている相模湖層群の露頭を観察する(愛川町八菅山 鳶尾山登山道) 相模湖層群がどのような応力によって変形したかについて解説を聞く(厚木市上荻野 まつかげ台北西 鳶尾山登山道)
▲激しい変形をこうむっている相模湖層群の露頭を観察する(厚木市・愛川町境界 鳶尾山登山道) ▲相模湖層群がどのような応力によって変形したかについて解説を聞く(厚木市 まつかげ台北西 鳶尾山登山道)


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