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「相模川の生い立ちを探る会」 活動の記録
第251回 2014年1月19日 葛川河口~二宮
■ 大磯の平野の地形(大磯西部)
■ コース:大磯町葛川河口~城山公園~国府本郷~国府新宿~二宮駅
今回は、大磯から二宮にかけて、旧東海道や葛川沿いを歩き、縄文海進以降に作られた沖積平野の地形を観察し、平野の地形がどのようにしてできたのかを考えました。湘南海岸地域には、縄文時代以降の3
段の段丘が発達し、高位より中村原面、前川面、押切面と呼ばれており、それらの段丘面が大磯でどのように分布しているのかも観察し、地震による地盤の隆起との関係も考えました。
葛川河口では砂丘列を葛川の流路が削っている様子を観察しました。城山公園では旧吉田邸内の庭園が砂丘と堤間凹地の地形を巧みに利用して作られていることを観察しました。城山公園前の本郷橋では河床に基盤の大磯層が露出していることを見ました。中丸の旧東海道では、東海道線沿いに古い砂丘が残っていることを確認しました。旧東海道と国道1
号線沿いとの合流点付近では高位の中村原面と中位の前川面が接していることを観察しました。六所神社では中村原面上の微高地と周囲の堤間凹地が複雑に入り組んでいることがわかりました。こゆるぎハイツ南側~塩見橋にかけての葛川沿いでは、中村原面、前川面、押切1
面、押切 2 面の4 段の段丘面を確認し、葛川の流路変遷の様子がうかがわれました。
二宮町の海の星幼稚園付近には、砂丘の高まりが見られ、松林として残っていました。市街地化が進み、ほとんど砂丘らしい景観が残っていないのが残念でしたが、箱根方面がよく眺望できました。最後に二宮駅前にも砂州列があることを確認して解散しました。(S.
M. )
文献:森 慎一ほか(2014) 相模湾岸西湘地域の微地形分類と完新世地殻変動.
平塚市博物館研究報告「自然と文化」. 37号 1-13。
▲相模湾に注ぐ葛川の河口。遠方に箱根火山がよく見える。 | ▲現在は河道の西側を流れる葛川。新たにできた砂州を削る。 |
▲砂丘や砂丘間凹地を巧みに利用して作られた旧吉田邸の庭園。 | ▲城山公園前の本郷橋下では、葛川河床に大磯層が露出する。 |
▲旧東海道北側の砂丘と葛川低地との比高を測定する。 | ▲旧東海道北側の中村原面を削る旧河道の低地(右手)。 |
▲旧東海道にある水準点から中村原面の高度を測定する。 | ▲中丸の国道沿いの中村原面(右手)と低位(左手)の前川面の段丘。 |
▲中丸の高位の中村原面上から、葛川低地を望む。 | ▲二宮の海の星幼稚園には砂丘上に松林が残る。 |
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