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「相模川の生い立ちを探る会」 活動の記録
第247回 2013年9月7日 二宮町押切・小田原市国府津と神奈川県立生命の星・地球博物館
■ 押切川沿いの3 段の沖積段丘
■ コース:二宮町押切坂上~押切川河口~小田原市前羽小学校~神奈川県立生命の星・地球博物館
今回は前回の大磯に続き、小田原市の押切川河口から国府津に至るまで3 段の沖積段丘を観察しました。この地域は、地殻変動の激しいところとして知られ、高位より中村原面・前川面・押切面(高位より押切1
面と押切2 面に区分されている)と呼ばれる沖積段丘が発達しているので、その高度を測定して地殻変動の様子を見てみようというのがねらいでした。
押切坂上付近は標高23 mほどあり、台地状をなしていますが、6000 年前頃の海成段丘である中村原面であるとの説明がありました。また押切坂上には、江戸時代に築かれた江戸からの距離を示す東海道一里塚の跡を示す石碑がみられました。旧東海道に沿って西へ進み中村原面の段丘崖を見て、押切川河口に出ました。この辺りは標高8.5
mほどの押切面で、押切川に沿って上流へと続いていました。国道の北側で、中村原面と前川面、それらの段丘崖を観察しました。前者は標高26
m、後者は標高14 mほどでした。
前羽小学校付近では、中村原面の北側にそれより新しい前川面や押切面が点在しているのを観察し、中村川の流路変遷によるものであると先生より聞きました。中村原面と押切面は1~3
mの比高で、さらに二分されるかもしれないとのことでした。前川面と押切面の分布から、前川面の一部や押切面は河成段丘であることがよく理解できました。
午後は、小田原市入生田にある神奈川県立生命の星・地球博物館に行き、湘南地球科学の会の講演を聴講しました。講演は「中部日本のテクトニクス序論」(藤岡換太郎氏)、「フォッサマグナとは何か-ナウマンから120
年」(松田時彦氏)、「フィリピン海プレートの運動と南部フォッサマグナの形成」(高橋雅紀氏)でした。各先生方の研究姿勢や成果に触れることができて興味深くお話を聴きました。(F.
S. )
▲東海道一里塚跡を示す石碑。江戸より十八里(押切坂上)。 | ▲押切坂上の中村原面から中村川低地に下り、地形図で位置を確認する。 |
▲国道1 号線の押切橋から上流をみた押切川。川の右側が左に比べて高度が低い。 | ▲押切川沿いの押切2 面と押切1 面との比高を測定する。 |
▲押切2面を削る塔台川の旧河道の低地。 | ▲前川面(背後)を削った低位の押切1 面(前川)。 |
▲大磯丘陵の縁に小規模な段丘が何段か見える(前川)。 | ▲前羽小学校付近の中村原面(右手の高位面)と道路左手の押切1 面。 |
▲前川面を構成する海浜の砂礫層。礫の丸みから海浜礫とわかる。 | ▲講演を聴講した生命の星・地球博物館。 |
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