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「相模川の生い立ちを探る会」 活動の記録

第211回 2010年5月15日 
葉山海岸・葉山しおさい博物館



■ テーマ:葉山海岸の葉山層群と葉山しおさい博物館
■ コース:葉山町真名瀬海岸~柴崎海岸~三ヶ下海岸~一色海岸~葉山しおさい博物館~葉山御用邸岬


 今回は、春の大潮で最低潮位が-7 cmという日を選んで実施されました。当日は快晴の絶好の巡検日和となりました。葉山町の真名瀬海岸では三浦半島で最も古い地層である葉山層群下部の鐙摺(あぶずり)層を観察しました。鐙摺層はここでは礫岩層と砂岩層の互層からなり、礫岩層中には、関東山地南部に分布する四万十帯由来と思われる砂岩や頁岩の礫や、三波川帯由来と思われるチャート礫のほか、玄武岩類も確認されました。本州弧由来の堆積物が認められることは、鐙摺層が海溝陸側斜面に堆積した堆積物が本州弧に付加したものであることを示しているとのことでした。ここでは地層の上下判定の仕方や、クリノメーターの使い方等の説明を受けました。また、カンザシゴカイ・カキ・カメノテ・フジツボなど潮間帯の岩場に生息する生物の棲み分けしている状況を観察しました。最下部にカンザシゴカイが、その上位の岩場にカキ、フジツボ、カメノテが観察されました。 ヤッコカンザシゴカイの生息位置を海水面から測定したところ、65 cmでした。
 次に、芝崎海岸でも鐙摺層を観察しました。ここでの鐙摺層は真名瀬海岸とは異なり、砂岩優勢の砂泥互層で、陸上起源を示す拳大の炭化材も認められました。炭酸塩コンクリーション(炭酸カルシウムが集まってできた硬い塊)や、砂岩層中の蜘蛛の巣状構造を観察しました。また、玉髄(石英の微小結晶の集合体)を含む薄い石英脈や方解石脈も見つけました。
 三ヶ下海岸では、鐙摺層の下位の森戸層を観察しました。砂岩層と泥岩層の互層で、炭酸塩コンクリーションを含み、縮緬状に風化したシルト岩でした。走向はN70゜W 、傾斜は58゜Nでした。一色海岸でも森戸層を観察しました。白色凝灰岩を含む縮緬状のシルト岩からなる地層でした。
 4時前に葉山しおさい博物館に入り、学芸員の方から相模湾の海洋生物の展示説明を聞いた後、葉山周辺の海や相模湾で見られる甲殻類・貝類・魚類や、昭和天皇御下賜標本などを見学しました。(K.N.)
                    

潮間帯の生物の生息位置を確認する 大潮で露出した葉山層群の互層を観察する(真名瀬海岸)
▲潮間帯の生物の生息位置を確認する(真名瀬海岸)。 ▲大潮で露出した葉山層群の互層を観察する(真名瀬海岸)
砂岩とシルト岩互層の鐙摺層を観察する(芝崎海岸) 陸域からもたらされた拳大の炭化材(柴崎海岸)
▲砂岩とシルト岩互層の鐙摺層を観察する(芝崎海岸) ▲陸域からもたらされた拳大の炭化材(柴崎海岸)
砂岩中にみられる蜘蛛の巣状構造(柴崎海岸) 海水面付近に棲息するヤッコカンザシゴカイ(柴崎海岸)
▲砂岩中にみられる蜘蛛の巣状構造(柴崎海岸) ▲海水面付近に棲息するヤッコカンザシゴカイ(柴崎海岸)
貝殻片を含んだ葉山層群の細礫岩(柴崎海岸) 縞状に発達した葉山層群の互層部(柴崎海岸)
▲貝殻片を含んだ葉山層群の細礫岩(柴崎海岸) ▲縞状に発達した葉山層群の互層部(柴崎海岸)
葉山層群森戸層のちりめん状シルト岩(三ヶ下海岸) 森戸泥岩層を観察する(一色海岸)
▲葉山層群森戸層のちりめん状シルト岩(三ヶ下海岸) ▲森戸泥岩層を観察する(一色海岸)
葉山層群の炭酸塩コンクリーションを観察する(一色海岸) 葉山しおさい博物館
▲葉山層群の炭酸塩コンクリーションを観察する(一色海岸) ▲葉山しおさい博物館


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