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「相模川の生い立ちを探る会」 活動の記録
第187回 2007年11月18日
丹沢のトラフ充填堆積物
■ 衝突によるトラフ充填堆積物を見る
今回は、 藤野駅高倉山登山道にて「丹沢の衝突のよるトラフ充填堆積物」をテーマに実施しました。
藤野駅にて本日の目的・観察内容について概説し、まず相模湖湖岸へ向かいました。湖岸の段丘地形が3段あることを確認し、相模川の浸食量の大きさを実感しました。相模湖湖岸の愛川層群とされている露頭に降りると、そこにはカンラン石に富んだ玄武岩が露出していました。本間(1991)により名倉玄武岩とされているものです。
名倉から高倉山登山道に入ると、この玄武岩溶岩と火山礫凝灰岩が露出していました。愛川層群中津峡凝灰岩とされているものですが、愛川町のものとは顔つきが異なるように思いました。337mピークの南で火山礫凝灰岩から礫岩層に変化し、衝突によるトラフ充填堆積物である石老山礫岩になったものと考えられました。向原あたりは断層運動によると考えられる凹地になっていて露頭はほとんどありませんでしたが、包丁岩という山が一つ鋭く残っていました。近づいてみると、海浜礫の中礫礫岩で、まさに石老山に分布する石老山礫岩とそっくりでした。小仏層群の砂岩と頁岩からなる礫ばかりでした。
向原から高倉山に至る登山道沿いには火山角礫岩に変化し、石老山礫岩は見あたりませんでした。中に含まれる礫に非常に丸い礫がかなりあり、土石流起源と考えられるデブライトでした。丹沢衝突によるトラフ充填堆積物である石老山礫岩をみることができ、関東山地の隆起をうなづけた一日でした。参加者は19名でした。 (S.M..)
▲相模湖湖岸でカンラン石に富んだ玄武岩露頭を見つける。 |
プレート境界と小仏山地の地形を展望する。 |
▲愛川層群中津峡凝灰岩とされる火山礫凝灰岩の露頭。 | ▲相模川に沿うプレート境界を望む。右手に扇山が見える。 |
▲稲井石の石材と粘板岩の片理について解説。 | ▲覆瓦状構造をもつ石老山礫岩を観察。小仏層群の礫からなる。 |
▲火山角礫岩中の円礫。デブライトと呼ばれる土石流による堆積物。 | ▲採取した岩石を比較して解説する。 |
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