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「相模川の生い立ちを探る会」 活動の記録
第184回 2007年7月21日
夏期特別展展示解説
■ 夏期特別展 「平塚周辺の地盤と活断層」の解説
今回は、「神縄断層を見る」をテーマに、駿河小山の西沢川の露頭を巡検する予定でしたが、雨天のため、残念ながら中止となり、夏季特別展を見学しながらの森先生の講義となりました。
特別展のテーマは、「平塚周辺の地盤と活断層」。御存じのとおり、神奈川県西部は、プレート境界に位置している、世界でも稀な地質学の重要ポイントです。阪神淡路大震災(兵庫県南部地震)や今年7月16日の中越沖地震のように、いつどこでも大きな地震災害が起こっても不思議でないのが私達の「日本」。今回の特別展で作成された「平塚周辺の地盤図」を見ると、市の東部の平野は液状化の発生する地帯で、西部の丘陵には活断層が複数走っていることがわかります。それは、平塚市周辺地域の地盤調査が進んで、情報量が豊かなためと考えるべきでしょうね。県下のどんな都市でも、このような展示をできるところは少なく、今回の特別展示は、地質学を超えて都市の安全にも踏み込んでいると思いました。だからこそ、他市の防災担当者も見学にきていたんでしょうね。
平塚市西部の大磯丘陵は、何本もの活断層に刻まれた隆起地帯。断層がなぜできるのかを説明する模型が展示してありましたが、これは、箱の中にココアパウダーと小麦粉を層状に積み重ね、一方から押すと箒の先の様に断層ができることを示したものです。押す力の方向とは逆の方向にも断層が生じること(共役断層)があることを理解しました。また、今回の展示の圧巻は、断層や液状化の剥ぎ取り標本の多さ。図面で見るのとは全然違う圧倒的な迫力です。広いとはいえない特別展示室ですが、そこに集められた資料には、2時間の先生のご説明でも消化しきれないほど多くの情報を含んでいました。 (T.E)
▲雨天で野外中止につき、夏期特別展について概要を聞く |
▲伸長応力場で形成された正断層の解説。 |
▲平塚周辺の地盤図の解説。 | ▲地盤の液状化の解説。 (写真後方は中井の液状化跡) |
▲国府津−松田断層の剥ぎ取り標本の解説。 | ▲平塚周辺の活断層の解説。 |
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