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「相模川の生い立ちを探る会」 活動の記録

第174回 2006年7月23日 

愛鷹火山の噴出物


愛鷹火山の噴出物

今月は愛鷹山に登って愛鷹火山の噴出物と富士の展望を期待しましたが、梅雨が明けず、小雨が降る中での観察会となり、参加人数も少なくなってしまいました。裾野市須山の愛鷹登山口から佐野川沿いに登山道を歩き、愛鷹火山の溶岩や火砕岩を観察しました。
 入口付近には10数万年前に形成された黒岳の溶岩円頂丘があり、露頭は確認できなかったものの、白っぽい輝石デイサイトの溶岩であることがわかりました。コースは土石流堆積物や崖錐堆積物が多く、露頭条件は余り良くありませんでしたが、佐野川上流の登山道で、3枚の溶岩流と火砕岩が重なる露頭を観察できました。溶岩は厚さ2〜3m程と薄い玄武岩の溶岩でした。中にはカンラン石に富んだ溶岩もありました。溶岩の間には火砕岩やロームが認められました。これらは愛鷹火山の内でも古い、旧期の活動期のもので、30〜40万年前であると考えられています。さらに上流の大沢橋際では、10m以上の厚い火砕岩が重なっていました。本質物質である噴石を多量に含む固結した火砕岩で、大きな溶岩塊は、下位のローム層中にめり込んでいる(Bomb sagという)のが確認されました。この地層も愛鷹火山の旧期の活動と考えられています。小雨が降ったりやんだりしていたので、尾根まで登らず、沢沿いの露頭観察だけにし、往路を戻りました。                      (S.M.)
                    

沢で礫の観察 縞状の玄武岩溶岩
▲佐野川の沢で愛鷹火山の溶岩礫を観察する ▲流理の発達した縞状の玄武岩溶岩
登山道を歩く 断層で切れた溶岩流
▲愛鷹山の登山道を歩き、上流に向かう会員 ▲愛鷹火山の火砕岩を覆う玄武岩溶岩流。小さな断層で右側が落ちている。
厚い火砕物 Bomb sag構造
▲火口から噴出された噴石からなる厚い火山砕屑物。真ん中に火山灰層を挟む。 ▲溶岩岩塊が落下して火山灰層にめり込んでいるBomb Sag構造。
噴石の接写 黒岳を望む
▲火口から噴出された噴石。 ▲黒岳は輝石デイサイトからなる溶岩円頂丘で白い溶岩だった。


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