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「相模川の生い立ちを探る会」 活動の記録
第170回 2006年3月19日
三浦半島 荒崎
■ 三浦半島と相模トラフ−このユニークなプレート境界の発達史−
コース:三浦市三崎口駅〜横須賀市荒崎海岸〜長浜
今回は,筑波大学の小川勇二郎教授を講師に招いて、「三浦半島と相模トラフ」をテーマに横須賀市荒崎海岸を歩き、三崎層の堆積構造や変形構造を観察し、三浦半島の地層が伊豆弧の前弧として堆積し、本州側に付加し、90度回転した証拠をご案内いただきました。この地域の三崎層は白の泥岩と黒の火砕岩(スコリアというより火山礫層)との互層からなり、風光明媚な海岸をつくっています。火砕岩は伊豆弧のマグマ水蒸気爆発によりもたらされたもので、乱泥流として流れるとともに、ストークスの法則によりきれいな級化層理をもっています。数cmもある大きな火山礫が降下堆積し下の泥層にめり込んだ跡や、脱水構造を示す皿状構造、タービダイト中の流れリップル(砂漣)、深海に堆積した証拠を示す底層流堆積物(コンターライト)の岩相などをご案内いただきました。こうした堆積構造のほか、本州に付加した際の変形構造として、同じ層が水平な逆断層(スラスト)で何度も繰り返す、デュープレックスやデュプリケーション構造、震動により形成されたベイン構造と断層との関係などもご説明いただきました。
砂泥互層の三崎層の上位には粗い砂層からなる浅海の堆積物である初声層が重なり、大規模な斜交葉理がよく発達して、堆積環境の違いがよくわかりました。初声層には地層を貫いてシルト岩礫を多量に含む角礫岩脈もみられ、液状化による注入であることを解説いただきました。
スケッチブックに絵を描きながら懇切丁寧に解説いただき、普段聞くことのできない話題に、会員達も充実した一日だったと感じました。 (S.M.)
▲深海の流れによるリップル構造を観察する | ▲黒いスコリアの表面が波打っているのは左から右への流れによると説明を受けた。 |
▲伊豆弧の火山から降下した火山礫が泥層にめり込んでいる | ▲地層に平行な断層により同じ地層が繰り返しているデュプリケーションを解説する小川先生 |
▲スケッチブックに絵を描きながら解説される小川先生とメモをとる会員 | ▲ホースが1つだけのデュープレックス構造は珍しい。 |
▲同じ地層が繰り返すデュプリケーションは本州への付加により形成されたと話される。 | ▲液状化によりシルト岩礫を多量に含む角礫岩が周囲の地層を切って下から貫入する |
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