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    『浮き島はなぜ起こる? (2004.2)

探偵「みんな、光はまっすぐ進むって知ってるよね?」
博「なんとなくだけどね。」
探偵「ところが、温度の違う空気がサンドイッチみたいに重なっていると、その影響で光が少し曲がるんだ。冬の相模湾の場合、晴れた日の朝には気温は0度近くに下がるよね。ところが、海水の温度は10度くらいあるから、海面のすぐ近くの空気は暖められて温度が高くなる。そこで、下が暖かく上が冷たい空気の層ができる。冷たい空気の方が密度が高いから、光はそこを通る時に、冷たい空気の方に少し曲がるんだ。」
物子「なんだか、よく分からないわ。絵で説明してよ。」
探偵「そうだね。じゃあ、下の図をみてごらん。abの矢印が船や島だとする。eが君たちの目だ。aやbから出た光はまっすぐ、目に届く。つまりa−eやb−eの線だ。これが普通に見えている船や島だね。ところが、海面近くに暖かい空気の層があって、冷たい空気と接するあたりが、光を曲げる働きをするから、aやbから海面に進んだ光の一部が、曲がって目に届くことになる。それが、a−c−eやb−d−eの線だ。ところが、人間の目には光がまっすぐ進むように見えるから、c−eやd−eをまっすぐ延長したa’やb’に実際の物があるように見えるんだ。それがさかさまになったまぼろしの船や島。a’b’のまわりには、abの後ろにある空もうつって見えるので、結果的にabが水平線より浮き上がって見えることになる。どのくらい浮かぶかとか、a’b’がどのくらい縮んで見えるかは、暖かい空気と冷たい空気の温度の差とか、いろいろな条件で決まってくるんだろうね。」

浮き島現象の説明

博「分かったような分からないような、難しい話だなあ。」
探偵「中学校の理科で、光の屈折(くっせつ)ということについて詳しく習うから、そうすればもっとよく分かると思うよ。」
物子「富山なんかのシンキロウが起こるのも同じような理由なの?」
探偵「温度の違う空気があって、それによって光が曲がって起こるという点は同じだね。ただ、富山の蜃気楼の場合は、春に起こるんだけど、海面に近い方が気温が低くなるんだ。だから、光の曲がり方が逆になって、まぼろしの像が実際の物よりも上に見える特徴がある。水平線に隠れてほんとうは見えないものが見えたりするので、浮き島よりもずっと面白いんだ。蜃気楼についてもっと知りたいなら、「魚津埋没林博物館」のホームページ(→ こちら)を見てみるといいよ。くわしく説明されているから。実は、上の図もそれを参考に作ってみたんだ。」


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