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相模川の生い立ちを探る会 2007年10月 「衝突境界の地層」

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「相模川の生い立ちを探る会」 活動の記録

第186回 2007年10月21日 

三ツ峠の衝突境界


衝突境界の地層を見る


 今回は、相模川上流の西桂町三ツ峠にて「丹沢の衝突境界の地層」をテーマに実施しました。
 三ツ峠駅にて本日の目的・観察内容について概説し、三ツ峠登山道へ向かって歩きました。下暮地の集落付近には露頭がなく、完新世段丘の観察と三ツ峠の断層地形を展望しました。グリーンセンターから先の三ツ峠登山道へ入って、露頭が現れました。まず、小沼累層に属するデイサイト質の火山礫凝灰岩〜細粒凝灰岩のタービダイトが見られ、北東−南西走向で北に傾斜していました。丹沢山地の北端部に位置するグリーン・タフで、最上部の煤ヶ谷亜層群に対比されているものです。上流にいくと、細粒砂岩となりました。この砂岩層から上位は丹沢地塊が本州弧に近づいて、本州弧との間のトラフを埋めた地層(トラフ充填堆積物)となります。下位は砂岩ですが、上位に向かって泥岩が多くなりました。中に挟まれる礫は小仏層群起源の頁岩・砂岩礫とチャート礫が圧倒的に多く、凝灰岩礫は1割程度でした。神鈴の滝は400m続くなめ滝となっており、泥岩に砂岩・礫岩の薄層を挟み、観察に最適でした。
さらに上流は礫岩(桂川礫岩層)となり、拳大の礫を多量に含んだ中礫礫岩でした。この礫種は圧倒的に凝灰岩礫が多くなり、細礫サイズの礫に小仏層群礫が入っていました。さらに上流の白滝火山礫凝灰岩の境である桂川断層まで観察予定でしたが、途中の露頭状態が大変良かったため、断層地点までたどり着くことができませんでした。
                          (S.M..)
                    

駅前にて概要説明 三ツ峠を望む
▲三ツ峠駅前にて本日の概要を解説する。 
▲下暮地から三ツ峠山と桂川断層の断層地形を望む。
  
古屋砂岩の観察 神鈴の滝の泥岩
▲古屋砂岩層の砂岩を観察。一部に貝化石が含まれていた。 ▲神鈴の滝に見られる泥岩層を観察。 
チリメン状風化 地層の観察
▲泥岩に見られるチリメン状風化。 ▲泥岩中に挟まれる礫を観察する。
礫岩が作る滝 桂川礫岩の礫層
▲桂川礫岩が作る滝。 ▲桂川礫岩にはトーナル岩や凝灰岩が目立つ。


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