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平成14年7月

平塚の考古資料50選

30. 呪術的な目的に使われた馬骨(刻み目のある馬骨

遺跡名 本宿B遺跡(平塚市豊田本郷字本宿)
大きさ 橈骨最大長303.5 ㎜、骨体中央最小径33.6 ㎜
年 代 古墳時代終末(7 世紀末縲鰀 8 世紀初頭)

馬の左前足の骨です。馬の前足は橈骨と尺骨の2 本の骨が結合していますが、本例では尺骨の大部分を取り去っていて、その時の刃物痕がわずかに残っています。骨の成長が完了した5・6 歳以上の成体と推定されます。表面には幅約2 ㎜、深さ1.0 ㎜縲鰀 1.4 ㎜の細長い溝が16 本、鋸状の工具によって等間隔で平行に刻まれています。
動物の骨や鹿角にこのような刻み目をつけた骨角製品は「彫骨」・「刻骨」と呼ばれ、弥生時代後半の遺跡を中心に国内11 例、韓国の遺跡からも12 例の報告があります。
用途としては、他例の多くが刻み目と直角方向に擦られて磨耗していることから、楽器の「ささら」のように擦って音を出したとする説があります。長野県の生仁遺跡では占いに使う「卜骨」と共に鹿角製「刻骨」が出土し、呪術的な目的に使用したと考えられます。
本資料は、朝鮮半島とも共通するこの種の呪術的な行為が、日本の古墳時代終末まで続いたことを示しています。


刻み目のある馬

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