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平塚の考古資料50選
31. 官衙を示す墨書土器(「国厨」・「郡厨」墨書土器)
遺跡名 稲荷前A遺跡(平塚市四之宮字稲荷前)
天神前遺跡(平塚市四之宮字天神前)
大きさ 国厨 口径13 ㎝、高さ3.8 ㎝
郡厨 口径12.9 ㎝、高さ3.9 ㎝
年 代 奈良時代(8 世紀)
稲荷前A遺跡第1 地点の1 号住居跡から、土師器坏に「国厨」と書かれた墨書土器が、また天神前遺跡第8
地点の13 号住居跡から、静岡県西部の駿東型の土師器坏に「郡厨」と書かれた墨書土器が出土しました。この二つの文字は「相模国の厨家」、「大住郡の厨家」を標記したものです。「厨家」は国・郡の行政を執行する部署の一つで、食事の供給や食料・食器の調達・管理を職務とします。
二つの資料は8 世紀後半のもので、この時期に国府と郡衙が成立していたことがわかる、大変貴重な資料です。また、稲荷前A遺跡第1
地点の3 号住居跡からは、8 世紀前半の「大住厨」墨書土器が出土しています。
相模湾・相模川の交通の要所に東海道と大住郡衙が設置され、その後、相模国府の建設が始められたものと思います。
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