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平塚の考古資料50選
12. 災厄を土偶に託したものか(中空土偶)
遺跡名 王子ノ台遺跡(平塚市北金目字王子ノ台)
大きさ 現存高25.8 ㎝(推定高約40 ㎝)
年 代 縄文時代後期(約3,000 年前)
大形で中空(中が空洞)、顔の部分がお面を表現したような板状をなすところから、「仮面土偶」などとも呼ばれている土偶です。この時期の土偶の多くは、体の部分が筒状で足を表現しない「筒形土偶」が一般的ですが、この土偶の場合は2
本の太い足で自立できたと思われます。こうした形態の土偶は全国でも珍しく、最近では長野県茅野市の中ッ原遺跡で完全な形を留めたものが出土し注目を集めました。本資料は少ない類例の中でも一番新しい様相を見せており、この後しばらくの間は、大形の中空土偶は作られなくなります。
中ッ原遺跡の場合は例外的で、土偶の多くは壊れた状態で出土します。これは、わざと壊すことで災厄を土偶に転嫁するような儀礼的行為の結果だと考えられています。本資料も頭と腕とは約20
m離れて出土しました。本来持っていた2 本の足も、調査範囲外のどこかに眠っているかもしれません。
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