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東丹沢のタマネギ石(2)−その特徴−

平塚市博物館公式ページ

最終更新 2004年3月

東丹沢のタマネギ石(2)−その特徴− 


■タマネギ石の大きさと岩相との関係
 
泥質あるいは細粒な岩石では比較的小さなタマネギ石が、粗粒な火山礫凝灰岩では大きなタマネギ石が形成されます。それは節理(割れ目)の間隔に左右されます。中・細粒の凝灰質砂岩〜砂質シルト岩では、地層の層理面に平行してコロッケ状〜ハンバーグ状のタマネギがよく見られます。泥質岩では、さらに小さなタマネギ石となり、それを基にして縮緬状風化が進行します。
■タマネギ石と殻皮
 
タマネギ石の殻皮と核の境は極めて明瞭です。切断した断面(下図)をみると、中央の核はグリーン・タフ特有の新鮮な緑味が残っており、風化度が低いことがわかります。これに対して核皮の部分は風化(酸化)して褐色を呈しています。殻皮の内側にある核の外周部(5〜7mm厚)も同様に褐色味を帯び、弱い風化が進行しています。風化度の極めて低い核部分と、その外周部の弱風化部との境界は明瞭で、風化が一定の厚さ毎に進行することがわかります。その1層の風化層が殻皮となります。
■タマネギ石を切断すると
 切断したタマネギ石をぬらして観察すると、核にも微細なクラックが多数入っていることがわかります。下図Aでは、未風化の部分が大きく、核は一つですが、クラックが中心部から外側へ向かって多数入っています。クラックは核中央に生じ、外側へ伝播します。下図BではAより風化が進んだ段階であり、微細なクラックが網目状に入りこんで3つの核に分割され、子タマネギ化していることがわかります。節理面で囲まれたブロックの中心部にある核中に生じた微細なクラックが、内側から外側へ伝播して、網目状にネットワークを作り、親タマネギから子タマネギを生み出すものと考えられます。

→タマネギ石とは
→タマネギ石と風化
→タマネギ石のでき方


引用文献 森慎一(2004) 平塚市博物館研究報告「自然と文化」27号

コロッケ状のタマネギ石 巨大なタマネギ石
▲砂質凝灰岩では層理面に並行した節理が発達し、厚板状の節理をなす。 ▲火山礫凝灰岩に見られる大タマネギ。風化度 が低く、殻皮は薄い。
泥岩中の小タマネギ石 泥岩の縮緬状風化
▲泥岩中にみられるタマネギ。径は5cm以下と小さい。寺家泥岩層。 ▲泥質岩にみられる縮緬状風化。3方向の節理 と並行する細かなクラックがみられる。
親タマネギ石から子・孫が生まれる タマネギ石の厚い皮
▲親タマネギから子・孫タマネギが生ずる。殻皮に直行したクラックが発達する。 ▲風化度の低いタマネギの厚い核皮。核皮の境は褐色部が認められる。
切断してみると
▲タマネギ石の核のクラックと殻皮  AよりBの方が風化が進行している。

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