2 いん石−宇宙の情報箱−
太陽系が誕生した46億年前、地球は太陽を取り巻くチリの雲の中から誕生しました。その後地球は地殻変動や火山活動を繰り返し、誕生した頃の情報をすっかりなくしてしまいました。一方、小惑星と呼ばれる天体の中には、いまだに太陽系誕生の頃のままでいるものもあります。こうした天体が地球にいん石として落ちてくるのです。ここに展示されたいん石はそれぞれ異なる成因を持っており、太陽系誕生の様子を伝えてくれます。
いん石展示
●ギベオンいん鉄
いん石のうち、鉄とニッケルの合金で出来たものを、いん鉄と言います。これは比較的大きな小惑星が、天体同士の衝突などなんらかの原因で壊され、鉄とニッケルの中心の核があらわになり、その破片がいん石となったもの、と考えられています。成分が金属のため大変重く、その比重は約8と、地上の石の3倍程度もあります。このいん鉄の重さは26.3 ㎏です。
触れるいん鉄
●特徴のあるいん石表面
いん石の表面を見ると、多くは黒く焼いたように見えます。これは何を物語っているのでしょうか。
いん石が地球に飛び込んでくる時のスピードは、秒速数十㎞であると考えられています。そのため地球の大気との摩擦で表面は非常な高温となり、表面が焼けただれたようになります。いん鉄の場合は、表面が溶けて、スプーンでえぐったようなあとがついています。
黒く焼けたいん石表面
●いん石の分類
いん石をおおまかに分けると、原始的ないん石、「コンドライト」と、比較的大きな小惑星の内部が融解し、分化が進んだ天体の中心部が「いん鉄」、その外側が石質の「エコンドライト」、その中間的な石鉄隕石などに分けられます。最も多いいん石はコンドライトで、発見されたいん石のほぼ9割を占めます。その中には「コンドリュール」とよぶ丸い粒状の粒子を含んでいます。これは原始太陽系で、高温の星雲中で、液状化した鉱物が冷えて球状となったものが集積したもの、と言われています。
いん石の分類
展示されているいん石
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