13 講のつどい



●さまざまな講
 講とは、元々仏典を講義する会という意味でしたが、やがてある特定の神仏を信仰する組織や、経済的な互助組織をも指して呼ぶようになりました。
 稲荷講は2月初午や2月11日に、講中で祀る稲荷や本家の稲荷へ、藁のツトッコに入れた赤いご飯や、油揚げ、尾頭つきの魚を供え、ヤドへ集まりご馳走を食べて過ごします。
 念仏講には月並み念仏と法要の念仏があり、月並み念仏は毎月1回、日を定めてヤドで念仏を唱えます。地蔵和讃や御詠歌を唱える所もあります。法要の念仏は、お通夜に枕念仏をあげ、四十九日、一周忌、三回忌などに招かれてお念仏をあげます。
 庚申講は60日に一度、庚申の日にヤドへ集まり、「お庚申さん」の掛け軸を祀り供物をあげます。「話し講」で、かつては「鳥が鳴くまで起きていろ」などと言って、夜通し花札やサイコロ遊びなどの博打に興じることもありました。唐傘講ともいい、掛け金を積み立て、唐傘を当てることなども行われていました。
 地神講は年に2回、春秋の社日にヤドで地神の掛軸を拝み、ご馳走を食べ農作業などの話しをします。この日は「鍬を使うと地神さんの頭を傷つける」などといわれ、百姓仕事を休む日でした。鍬講などともいい、掛け金を積み立て籤で当たると鍬や鎌がもらえました。
 不動講は毎月 28日にヤドへ集まり、不動明王像へ向かい拍子木を打ち不動真言を唱えます。
 各講はニワやクボと呼ばれる小集落単位で組むものが多く、当たり日(現在は付近の休日が多い)にヤド(順回りの当番)の家で実施します。17世紀後半にはすでに念仏講中による地蔵や、庚申講中による庚申塔の像塔が見られるように、数百年にわたり続いてきた伝統行事ですが、勤め人の増加、娯楽の多様化、信仰心の低下、ヤドの負担などの理由で衰退しています。



不動明王像(田村上町不動講)


念仏講(田村横宿)


地神講(左)と庚申講の資料


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