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地球科学野外ゼミ 第20回 2020年2月8日(土) 野外:早川河口と生命の星・地球博物館見学【砂鉄と史跡】

「地球科学野外ゼミ」活動記録

第20回 2020年2月8日(土) 野外:早川河口と生命の星・地球博物館見学【砂鉄と史跡】



■ コース:箱根口バス停→御幸の浜→早川河口→早川口遺構→箱根板橋駅→入生田駅→生命の星・地球博物館

▲礫(れき)が広がる「御幸の浜」北東側。


 今回は、早川河口周辺にみられる砂鉄と周辺の史跡などを観察することと、生命の星・地球博物館の常設展を見学することが目的でした。
 まず箱根口バス停に集合してから、その南東の海岸「御幸の浜」に向かいました。御幸の浜には海側に突き出た人工的な岬があり、最初にその北東側で砂や礫を観察しました。 この地点の砂は粒形1~2㎜の砂(粗粒砂)が主体ですが、海に近づくほど粒は粗くなり、波打ち際では握りこぶし大の円礫が多く見られました。礫種は丹沢由来の凝灰岩や深成岩と、箱根由来の火山岩が混在しており、ここより東を流れる酒匂川からもたらされたことがうかがえました。
 一方で、岬を挟んだ南西側では、礫の大きさは人頭大以上の巨礫が多く、礫種としては箱根由来の火山岩が大部分を占め、丹沢由来の物は顕著に少なくなっていました。このことから、岬の南西側の礫は、この地点から南西に約500m地点で相模湾にそそぐ早川からもたらされたことが推定されました。
 このように海岸において、異なる給源の礫が岬を挟んで隣接することは、海岸の砂の移動と堆積には、海に突き出た岬のような地形が大きく関係していることを示していると考えられます(ただし地元在住の方から、このような石の違いは、養浜のために砂礫を撒いている影響も考慮する必要があるという指摘もありました)。

▲「御幸の浜」の岬より南西側。石(礫)の大きさは人の頭くらいのものが多く、中には人間より大きいものもあります。 ▲「御幸の浜」の岬より北東側。礫の大きさは多くが握りこぶしくらい。

 御幸の浜では、砂の粒度が粗いせいか、表層に砂鉄は見られませんでしたが、次に行った早川河口では、水の引いた河床に砂鉄の濃集部が見られました。水流でできたカレントリップルに砂鉄が濃集している様子が見られたことから、川の流れによって軽い砂が流されたことで重い砂鉄だけが表層に残ったことがうかがえました。
 そこから北上し、小田原城の早川口遺構で休憩を取ったのち、入生田の生命の星・地球博物館へ行きました。地球博では、常設展の見学を行いました。地域資料に限らない広い範囲の展示を、会員同士で議論しながら見ることで、より詳しく展示を見る機会になりました。


▲早川河口の水が引いた川床に濃集した砂鉄(黒色部) ▲会員皆で砂鉄を観察。磁石を使って砂鉄の大まかな量を調べます。
▲早川口遺構で少し休憩。小田原城総構の土塁跡です。 ▲午後は入生田駅前にある神奈川県立生命の星・地球博物館を見学。

写真撮影:地球科学野外ゼミ会員

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