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地球科学野外ゼミ 第9回 2019年2月17日(土) 川音川【秦野-足柄間を走る断層の地形】

「地球科学野外ゼミ」活動記録

第9回 2019年2月17日(土) 川音川【秦野-足柄間を走る断層の地形】



■ コース:新松田駅→中丸児童公園 川音川河岸→ゆのさわ公園

▲川音川断層上を流れる川音川。


 今回は、秦野盆地と足柄平野を結ぶ川音川沿いを歩き、周辺の断層地形と地層を観察することが目的でした。

▲神奈川県西部の活断層(平塚市博物館, 2007に加筆)。



 最初に新松田駅に集合しガイダンスを行ったのち、東に歩いて、川音川が酒匂川に合流する地点からやや上流になる、籠場橋袂の川音川河岸に降りました。川音川は、秦野盆地西縁から足柄平野東端にかけて走る活断層である川音川断層にそって流れる河川です。この篭場橋付近は、足柄平野の東端を走る国府津-松田断層と、北端に走る松田北断層の交わる地点でもあることから、3つの活断層が交わる地点にあたります。
 次に、そこから川音川に沿って国道246号線を北上していきました。途中、川音川河岸や道路沿いの壁面に、足柄層群の露頭がみられました。足柄層群は、火山島だった伊豆半島、本州との間の海溝に堆積した堆積物(トラフ充填堆積物)で、堆積した時代は、伊豆が本州に衝突付加した100万年前よりもわずかに昔(150-200万年前)になります。観察した露頭の岩相は握りこぶしから一抱えほどもある大きな円礫を含む砂礫岩で、堆積当時、陸から深海まで急激に堆積物が流れ込むような環境であったことがうかがえました。

▲新松田駅北東の川音川の様子。酒匂川との合流点のやや上流にあたる場所です。。 ▲国道246号線沿いの崖にみられる足柄層群の露頭。
▲川音川の川岸にも足柄層群の露頭が。 ▲足柄層群の礫岩層。陸上の川で丸く削られた円礫からなります。

 さらに北に進み、川音川とその支流の中津川とが合流する、寄交差点付近で休憩しました。中津川下流は、活断層である神縄断層に沿って流れており、休憩しながら神縄断層東端の谷地形が観察できました。
 さらに北上して、秦野盆地の南西縁で、活断層による大磯丘陵の隆起と、それに伴う川音川や水無川の河川争奪について話がありました。段丘の分布と年代から、川音川は、5万年前には水無川、金目川と合流して、まだ隆起していない大磯丘陵を南北に横断し、中井町の方に流れていたと考えられますが、その後3万年ごろに川音川断層に沿って、酒匂川に流れるようになったと推定されています。 最後に渋沢駅でまとめを行ってから解散しました。


▲国道246号線からみた、神縄断層の谷地形。 ▲秦野盆地南西端の川音川。秦野盆地を流れる川で唯一、酒匂川に合流する川です。


引用文献:平塚市博物館, 2007, 夏期特別展 平塚周辺の地盤と活断層. 平塚市博物館, 64pp.

写真撮影:地球科学野外ゼミ会員

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