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地球科学野外ゼミ 第4回 2018年7月21日(土) 野外:洒水の滝【トラフ充填堆積物と断層地形】

「地球科学野外ゼミ」活動記録

第4回 2018年7月21日(土) 野外:洒水の滝【トラフ充填堆積物と断層地形】



■ コース:大野山入口バス停→洒水の滝→酒匂川河岸→山北駅

▲洒水の滝。


 神奈川県西部を流れる酒匂川沿いには、いくつもの活断層が走っていることが知られています。なかでも、松田北断層、日向断層、平山断層などの複数の断層からなる松田北‐平山断層帯は、国内の活断層の中でも、今後30年以内に動いて地震を発生させる確率がやや高いグループに入る活断層帯です(地震調査研究推進本部地震調査委員会, 2015)。酒匂川沿いでは、これらの活断層の活動によって形作られた特徴的な地形を見ることができます。
 今回は、平山断層の活動でうまれた洒水の滝や、日向断層によって生まれた浅間山や丸山の地形を観察することが目的でした。

▲洒水の滝周辺の地質図(産総研 地質図Navi (https://gbank.gsj.jp/geonavi/) に加筆))。



 最初に大野山入口バス停に集合した後、酒匂川を渡って洒水の滝へ向かいました。洒水の滝は、矢倉岳を源流とする滝沢川(酒匂川の支流)にかかる3段の滝です。滝沢川にほぼ直行する平山断層の活動により、上流側(西側)が隆起するとともに、下流側東側が浸食されて生まれました。
 滝と周辺の地層は足柄層群と呼ばれ、火山島だった伊豆半島と本州の間のプレート境界にできた堆積盆地(トラフ)を埋めた、およそ100万年前の堆積物からなります。滝沢川沿いにみられる足柄層群は、陸で削られて丸くなった礫を主体とする円礫岩や、より細かい砂からなっていました。


▲洒水の滝がかかる滝沢川の下流。 ▲滝沢川沿いにみられる足柄層群の露頭。
▲洒水の滝を観察。崩落のため橋より先には近寄れませんでした。 ▲滝の手前にある湧水。名水100選に選ばれているとのことです。

 次に滝沢川を下流に引き返し、酒匂川が流れる浅間山南側の地形を観察しました。ここには、日向断層がほぼ東西に走っており、浅間山や、その東にある丸山が隆起していったのも、この日向断層の活動の影響が大きかったと考えられています。もし日向断層の活動のみによって浅間山が隆起していると考えた場合、その隆起速度は千年あたり1.5~1.7mにもなり(萬年ほか, 2005)、隆起量は極めて大きいことになります。  
 当日は極めて気温が高かったため、ここで観察を終え、山北駅まで歩いてから解散しました。


▲滝沢川河床の足柄層群の転石。河床の円礫は多くが足柄層群の礫岩に由来するものと思われます。約100万年前に丸く削られて海底に運ばれ堆積した礫が、隆起によって足柄層群として再び地上に現われ、浸食されてまた礫になったのです。 ▲浅間山南西側側斜面と酒匂川。浅間山南側(写真右側)の裾を日向断層が走っています。


引用文献:地震調査研究推進本部地震調査委員会, 2015, 塩沢断層帯・平山-松田北断層帯・国府津-松田断層帯(神縄・国府津-松田断層帯)の長期評価(第二版).
     萬年 一剛, 小林 淳, 山下 浩之, 古澤 明, 2005, 神奈川県山北町・浅間山の隆起開始年代-伊豆弧北東端のアクティブテクトニクスに対するひとつの制約. 地質学雑誌 111, 2, 111-114.

写真撮影:地球科学野外ゼミ会員



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