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 「相模川の生い立ちを探る会」

大地の声を聞く(1)


 ここでは、「相模川の生い立ちを探る会」に参加している会員の方々が大地に触れ、感じとった大地の声を聞いてみましょう。

大地のドラマ
 もし、タイムマシンがあったなら、地球誕生46億年の歴史の流れを遡り、その壮大なドラマをつぶさに見てみたい。そしてスイカを切り割るように中の様子も覗いてみたい。現実には不可能なこんな子供じみた夢も地質の勉強を通して、少しずつつなぎ合わせ、想像することができるのです。丹沢の早戸川で見られる枕状溶岩はかつて海底火山があったことを物語り、石老山の礫岩は丹沢の衝突により海底が隆起した証拠をみせ、池子の森のシロウリガイ化石は、そこが深海のプレートの沈み込み帯にあったことを教えてくれます。その他、褶曲や断層、火山活動など、私たちの目の前に現れた様々な現象はまさに生きている地球の声、もっと耳を澄まし、目を凝らして、その声を聞き取れるようになりたいものです。(M.I.)

早戸川の地層

プレートの衝突により急傾斜した丹沢の地層

束沸石

丹沢で見いだされた束沸石

■山北町湯本平の沸石
 丹沢湖の南にある湯本平の河内川河床には、丹沢を作るグリーン・タフの中に、白っぽい鉱物がいたるところに見られます。ルーペでその鉱物をよく観察すると、色や形が様々に異なり、何種類もの沸石や、透輝石・緑簾石・緑泥石などの鉱物であることがわかります。岩石の中にどのように入っているか、お互いの鉱物の関係はどうかをよく見ると、これらの鉱物が生まれたときの様子をいろいろ語りかけてきます。沸石たちは、生まれる前、地中で熱と圧力を受けた、熱水という状態で存在していたんだと言っていました。その後、断層や応力などで変形した岩石の隙間に入り込み、温度と圧力から開放されて生まれて来たそうです。鉱物たちが、我々の眼に触れる前は、皆、高温高圧の液体で存在していたようですね。(F.W)

■湘南海岸の石ころ
 湘南の浜を歩くと、色々な種類の円磨された石ころが目に付きます。ごま塩状の深成岩・孔のあいた黒っぽい溶岩・青や緑味のある緻密な凝灰岩・白い斑点の多い灰色の安山岩等が複雑に混ざり合い、砂浜をつくり、美しい風景を醸し出しています。これらの石は神奈川の大地をつくる丹沢や箱根などの山々の岩石が母岩から砕け落ち、川の上流から長い旅路の末に海岸に辿り着いたものです。国府津・二宮・大磯・平塚の海岸で、石ころの種類、形や丸さ、大きさなど調べてみると、各々の石ころはどのようにして誕生し、どのような過程を経てどこから各浜に辿り着いたのかを知ることができます。「探る会」で、そんなことを調べ、石ころ一つずつが異なった素性を持ち、そこから流域の大地の成り立ちを垣間見ることができることは、地球の大自然の不思議を紐解いているようです。(K.K)

礫を調べる

湘南海岸で海浜礫を分類し、石の素性を調べる

サンゴ化石

丹沢の石灰岩中のサンゴ化石

■ダイナミックな大地
 「動かざること山のごとし」と言いますが、平塚からの丹沢の山々を見ると、正にどっしりと我々に安心感を与えてくれます。この丹沢の山々が500万年前に南の海からやってきて日本列島に衝突したなどとはとても信じられる話ではありませんでした。縁あって博物館の地質部門に入会して最初の野外活動が山北の皆瀬川。この川奥で自分の目でアオサンゴやキクメイシサンゴの化石を見た時の驚き、そしてこの化石を追い求めておられる門田先生の著書や、オウムガイの完全な化石を見せていただくにおよんでは自然のダイナミックな営みに驚嘆せずにはおれませんでした。自分でもっとこの丹沢の皮を剥いで見なければと、探る会に入会して早3年、毎回の野外活動で感激を新たにしています。(K.Y)

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