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    毎年南からやってくる虫 (2004.7)

探偵「虫の中には、毎年決まって南から飛んでくる種類もあるんだよ。」
物子「それってどういうこと?毎年飛んできた虫は、そのまま死んじゃうっていうの?」
探偵「その通り。たとえばウスバキトンボの場合、6月頃には現れて、プールや田んぼでさかんに卵を産む。そのヤゴも育って、新しい成虫も生まれるんだ。ところが、冬に寒くなると、ヤゴがみんな死に絶えてしまうので、また初夏に南から飛んでくる成虫が来るまではいなくなってしまうっていうわけだ。秋によく見られるウラナミシジミも神奈川県では幼虫が冬を越せないんだ。」
博「なんだか、ずいぶん無駄をしているみたいにみえるけどね。」
探偵「短い時間で考えれば、確かに無駄が多いね。ただ、長い目でみれば、気候が暖かくなるような変化があった時には、他の種類よりも早く分布を広げられる可能性がある。そうした作戦で、毎年北への旅を続けている動物は、魚やカニにも見られるんだよ。もっとも、ウスバキトンボやウラナミシジミは、クロコノマチョウなんかに先を越されているわけだから、この作戦がよいのかどうかは、難しい問題だね。」

ウスバキトンボ ウラナミシジミ
ウスバキトンボ ウラナミシジミ


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