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    見なれないカメムシたち (2004.7)

博「チョウの他にも増えてきた虫はいないの?」
探偵「ある、ある。ヨコヅナサシガメという大きなカメムシが、平塚にもすっかり定着してきたよ。この虫が平塚市で初めて見つかったのは、1998年5月土屋でのことだったんだけど、その後どんどんふえて、湘南平、馬入水辺の楽校など多くの場所で普通に見られるようになった。この虫は、九州で初めて記録されたもので、おそらく明治時代に中国から日本に入ってきた外来昆虫だと考えられている。1980年代までは関西あたりまでが見られる範囲だったんだけど、その後急に分布を東に広げ、神奈川県では1992年に初めて見つかった。その後さらに北上し、茨城県でも記録されているよ。外来種なので、他の南方系の虫と一緒にはできないかもしれないけれど、最近北上してきたことは確かだね。」
物子「どういう場所を探せば見つかるの?」
探偵「ヨコヅナサシガメは、サクラやエノキの大木が好きで、その幹を歩いていることが多いね。下向きについた長い口を持っていて、それを毛虫などに突き刺して体液を吸うという肉食の虫だ。幼虫が、樹皮の間や幹の隙間に集まって冬を越すので、秋の終わりには特に目立つね。冬を越した後の4月頃に羽化して成虫になるけど、羽化した直後は体全体が真っ赤な色をしているよ。君たちもサクラの大木を目印に探してみてね。ただし、うっかりつかむと鋭い口で刺され、相当痛むから気をつけてね。」

ヨコヅナサシガメの成虫 羽化したばかりのヨコヅナサシガメの成虫
ヨコヅナサシガメの成虫(2004年5月/高村) 羽化したばかりの赤い成虫(同左)

博「水辺の楽校でも変なカメムシが見つかったって聞いたような気がするんだけど。」
探偵「よく覚えていたね。2002年の秋に、シロヘリクチブトカメムシという種類の幼虫と成虫が見つかった。この種類も最近、神奈川県で記録されるようになった南の種類だね。」

シロヘリクチブトカメムシの幼虫 シロヘリクチブトカメムシの成虫
シロヘリクチブトカメムシの幼虫
(2002年9月馬入相模川)
成虫

参考文献:『神奈川県におけるヨコヅナサシガメの分布拡大』(高桑正敏ほか,1998.神奈川自然誌資料19号)


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