なぞの多い神奈川のモリアオガエル (2004.6)
博「もう1種類のモリアオガエルっていうのは、どんなカエルなの。」
探偵「声や体の形はシュレーゲルアオガエルによく似ているんだけど、神奈川県あたりのものは背中に茶色い模様がついていることは話したよね。この種類のいちばんの特徴は、池の水面にはりだした木の枝に泡にくるまれた卵を生みつけることだ。」
物子「それなら、テレビで見たことがあるわ。綿菓子みたいなのが木の葉っぱについているんでしょ。」
探偵「そうだね。卵がかえると、泡がくずれてオタマジャクシが下の水に落ちてくるようになっている。こういう変わった習性があるから、昔からモリアオガエルは注目を集めていて、産卵の見られる池では大切に保護されてきた場所も多いんだ。」
博「それで、モリアオガエルは神奈川県ではどこで見られるの?」
探偵「それが、ほんの限られた場所にすんでいるだけなんだ。よく見られるのは、藤野町の北部だけで、ここでは庭の池とか、学校のプールなんかでも産卵することがある。それ以外では、鎌倉市で毎年産卵する場所があるんだけど、昔からいたというよりは、誰かが持ち込んだカエルが増えたのではないかと考えられている。ところが、最近になって南足柄市と中井町でも卵が見つかったんだ。これも、人間が運び込んだ可能性があるけど、中井町では複数の場所のコンクリートの雨水溜めが産卵に利用されていて、もしかすると自然の個体かもしれない。」
物子「なぞのモリアオガエルというわけね。なんか、わくわくするわね。」
探偵「中井町のモリアオガエルについては、博物館の『自然と文化』の27号にレポートが出ているよ。」
産卵するモリアオガエル (藤野町/端山昇氏撮影) |
雨水溜の上に産まれた卵 (中井町) |
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