カワウが増えているってほんとう? (2006.4)
博「さっき探偵がカワウが増えたと言ってたけど、いつ頃からのことなの。」
探偵「カワウという鳥は、たぶん戦前には全国の川や湖に普通に見られた鳥なんだろうと思う。ところが、1970年頃には、急に数が少なくなって、集団で巣を作る場所が全国で10ヶ所以下になってしまったんだ。なぜ減ったかは、しっかり調べられたわけではないけれど、その当時水田などに強い農薬(のうやく)が使われ、その毒が魚を通じてカワウに影響(えいきょう)を与えた可能性が大きいね。」
物子「確か、農薬は鳥の体の中で濃縮(のうしゅく)されるのよね。」
探偵「その通り。ある種類の農薬は、いったん体に入ると排泄(はいせつ)されないので、魚の体に入っていた時よりも鳥の体の中のほうが濃くなってしまうんだ。」
博「それで、減ったカワウはどうなったの?」
探偵「1970年から1980年代にはカワウは神奈川県ではめったに見られないめずらしい鳥だった。その頃は、関東地方でカワウが巣を作っている場所と言えば東京都上野公園の不忍池(しのばずのいけ)しかなかったんだね。ところが、1980年代に入ってから、東京湾沿いの公園で巣つくりをするカワウが出てきた。公園の木が枯れるという騒ぎがあって、埋立地の方に引越しをはかったりしているうちに、数もどんどん増えてきた。強い農薬が使われなくなったことも、カワウに幸いしたんだろうね。神奈川県でも、よくカワウが見られるようになったのは、1990年代に入ってからのことだね。」
物子「今では、県内どこでも見られるの?」
探偵「日本野鳥の会神奈川支部が調べたところでは、山の中をのぞいてどこの川にも湖にもいるといってよいだろうね。くわしく知りたければ、野鳥の会のホームページを調べてごらん(http://www.mmjp.or.jp/wbsj-k/mokuroku-bunpuzu/2-kawau.html)。」
博「この写真にもたくさんカワウが写っているけど、これはどこなの?」
探偵「平塚市田村の寒川取水堰(さむかわしゅすいせき)だ。こんなにたくさんカワウのいる風景は、1990年までは見られなかったということだね。」