伝統的な草木染め (2006.11)
物子「草木染めの実験も楽しそうだけど、もっとも本格的な染め物も見てみたいわ。」
探偵「日本全国にいろいろな染め物があるけど、草木を使ったものが少なくない。ぼくが、実際に見たことがあるのは、まず八丈島の黄八丈(きはちじょう)だな。」
博「八丈島って、伊豆七島の?」
探偵「その通り。黄八丈の場合は、コブナグサで染める黄色、タブノキの樹皮で染める樺色、スダジイの樹皮で染める黒の糸を組み合わせて織物にしているそうだよ(http://www.f2.dion.ne.jp/~juni/index.htm)。工房でとらせてもらった写真を見せようね。」
物子「黄八丈では媒染は何を使うの?」
探偵「質問がだいぶ専門的になってきたね。コブナグサの場合はツバキなんかの葉を焼いた灰、タブノキの場合はいろりの灰、スダジイの場合は泥を使うそうだ。」
黄八丈めゆ工房にて 工場見学もできる tel.04996-7-0411 |
入場券に使われた黄八丈 資料館 tel.04996-2-3105 |
物子「ほかには、どんな色の染め物があるの?」
探偵「昔から有名なものとしては、アカネやムラサキがある。草の名前と色の名前が同じということは、それだけ古くから染料として利用されてきたということだね。秋田県鹿角市の栗山家で見せていただいた染めの色を見せようね。栗山家では、文次郎さん(国重要無形文化財)、文一郎さん(秋田県重要無形文化財)の2代にわたって古代染めをされていたそうだ。」
博「ずいぶん鮮やかな色が出るんだね。」
探偵「これだけの色を出すには、何回も重ねて染めていくのでたいへんな時間がかかるようだ。アカネの場合は完成までに3年くらいかかると聞いたよ。」
物子「また同じ質問になるけど、媒染は何を使うの?」
探偵「アカネもムラサキも媒染はサワフタギという木を焼いた灰を使うそうだ。栗山家の庭にもサワフタギが植えてあったよ。」
アカネで染めた絹 (鹿角市栗山ケフ氏所蔵) |
ムラサキで染めた絹 (鹿角市栗山ケフ氏所蔵) |
<本ページを作成するにあたって、八丈町教育委員会・黄八丈めゆ工房・栗山ケフの皆さんから画像の掲載についてお許しをいただきましたので、お礼申し上げます。>
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