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平塚の考古資料50選
33. 祭祀に使われた土器(人面墨書土器)
遺跡名 六ノ域遺跡(平塚市四之宮字大会原)
大きさ 口径11.3 ㎝、高さ3.4 ㎝
年 代 平安時代(9 世紀)
昭和63 年に調査された六ノ域遺跡第8 地点の4
号住居跡から、土師器坏の体部外面に人の顔が描かれた人面墨書土器が出土しました。人の顔は対になって眉・目・鼻・口がはっきり描かれていますが、顔の輪郭はありません。
人面が描かれた墨書・刻書土器は、県内で本資料を含めて6
遺跡9 点が出土しているのみで、極めて特殊な遺物であることがわかります。このうち、3
遺跡が平塚の国府域に集中していることに意義があります。人面墨書土器は8
世紀前半に平城京で出現し、疫病祭祀の遺物として登場しますが、後に、地方の官衙遺跡などで発見されるようになります。
本資料は疫病祭祀にも使われたものと考えますが、天変地異・飢饉を含め、地方国家の存亡や民衆の生死に関わる重大な事態に対処する際に用いられた祭祀遺物と考えます。その祭祀の主体者は、大住郡と高座郡の郡司であった壬生氏が積極的に関与していたものと推定します。
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