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平塚の考古資料50選
22. 底部に孔をあけた土器(有段口縁の壺)
遺跡名 南原B遺跡(平塚市南原三丁目)
大きさ 口径22.6 ㎝、高さ29.4 ㎝
年 代 古墳時代前期(3 世紀後半)
この土器は、段をもちながら外反する口縁部(有段口縁)と球胴形の胴部に直立する頸部という形そのものに特徴がある壺です。胴部や頸部にバリエーションが見られますが、畿内の大和地方を中心に成立した器種であると考えられていて、奈良県桜井市の箸墓古墳や桜井茶臼山古墳からも同様の形態の壺が出土しています。
また、それ以外の地では、関東・中部や北陸の古墳からの出土例が多いのですが、方形周溝墓からの出土も見受けられ、古墳が各地で造られるようになった段階でも、弥生時代から継続して方形周溝墓が造られていたことがうかがえます。
このころ、墓に供される土器の底部には孔をあける場合が多く、あけることで日常の容器とは意味を違えていたようです。方形周溝墓の周溝覆土中から出土したこの土器も、墓前祭祀の時に底部を打ち欠いて供されたと考えられます。
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