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平塚の考古資料50選
20. 鉄斧を模倣した石器(磨製石斧)
遺跡名 赤坂遺跡(平塚市岡崎字赤坂)
大きさ 長さ13.5 ㎝、重さ240 g
年 代 弥生時代後期(3 世紀)
石斧が採集されたのは、伊勢原台地の南西端に突出した台地上です。西側は断層崖、東側は谷戸に削られて、南北に細長い馬の背状の台地となっています。その南部に位置する桜畑遺跡、本資料が出土した赤坂遺跡は弥生時代後期から古墳時代前期の集落が営まれています。一方、北部の権現堂遺跡には同時代の方形周溝墓群があり、この台地では居住領域と埋葬領域の区別が見られます。
弥生時代に導入された文化の一つに「鉄器の利用」があります。しかし、鉄器が広く人々に利用されるまでには至っておらず、鉄斧を模して作られたと考えられるのがこの磨製石斧です。丹沢系の輝緑岩で作られています。本来は樹木の伐採や木材の荒割りの道具ですが、実用されてはいないらしく、この資料にも実際に使用された場合につくキズ「使用痕」が見あたりません。鉄器の入手が困難であった当時、耐久性があり切れ味の鋭い鉄器の威力にあやかろうと、祭祀の場で使用されたのでしょうか。
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