よい空のベガ
撮影地・時刻:平塚市博物館屋上 2014年12月17日17時47分
OLYMPUS XZ-1 焦点距離6mm ISO160 F1.8 4秒露出
航空機の軌跡がベガを指示しています(写真の後ちょうど重なりました)。
明け方のベガ
撮影地・時刻:中郡二宮町 2012年12月18日5時57分
OLYMPUS XZ-1 焦点距離6mm ISO160 F1.8 4秒露出 トリミング
画面中央に近い星です。
詩人オルペウスの妻エウリディケは
毒蛇に咬(か)まれ命を落としてしまいました。
後を追って地下に向かったオルペウスは
冥王ハデスの前にたどりつき
演奏をもって胸の内を訴えます。
その音は王と王妃の心を動かしますが
「地上までは振り返らない」約束を、あと少しのところで果たせず
エウリディケは冥府に引き戻され
オルペウスはひとり地上に戻るのでした・・
ギリシャ神話に名高いオルペウスの冥界探訪です。
後に、オルペウスがたずさええた琴は
天に昇り こと座になったといいます。
まるで神話のように、
12月 こと座の一等星ベガは
夕方西に輝き、一度没した後
明け方、ふたたび北東の地平線に昇ります。
朝を告げる光の中、空に戻ったベガは
まるで悲しみさえ洗い落として純白に澄みわたり
さすが冷厳な冥王の心を動かした星 と
納得させられます。
オルペウスの心は失意に暮れても
彼の訪問で
冥府の人々のだれもが ひととき、
たしかな朝を感じたにちがいありません。
明け方に現れたベガは、
季節の進行とともに見える時刻が早まって行き
やがて夜半、そして宵の空にも姿を見せるようになり
夏には七夕の織女星としてひときわ光輝を放ちます。
1月上旬まで、朝夕二度のベガを見られます。