平塚市博物館公式ページ
2007年12月15日
南足柄市大雄山駅付近の交差点で
最乗寺境内にある翼二十七丁目の道標
明治40年 寄進者は彦多楼 峯岸信次郎
翼宿は現行星座のコップ座付近にあたる
どんなに せつなくても
どうにもできない 相手があります たとえば
それは 月だったりします
どんなに せつなくても たとえば
「過去」だったり するのです
ここはその名も大雄山線 終点駅より
箱根足柄 大雄山最乗寺に登る道です
橋のむこうは坂になり
右カーブの先に 参道一丁目があります
車の参拝が多いので
「日月星宿」と刻んだ 路傍の石塔に
気づく人は少ないでしょう
それは角一丁目から軫二十八丁につづく
日本や中国でむかし使われた二十八宿
月や 惑星や 太陽も行く
星座の道の 一丁目なのです
元治元年 小田原誠信社中が
二十八宿星座名を割り振った
石灯籠のみちしるべを造立寄進し
明治40年 新吉原妓楼の楼主たちが
おそらくは老朽化していたそれらに代えて
再び奉納したものです
いまもあわせて43基 深い杉木立にたたずんで
参拝の往来を見まもっています
こんなところに 星がいる
それが気になって
また来てしまいました
いったい何を 祈ったのか
いったい何が 祈られたのか
明治40年
それは有名な吉原大火の
4年前のことでした
どんなに せつなくても
それは 違う世界の人 だったり
それは ただ
自分への言い訳だったり
するのでしょうが
(平塚市博物館では「星まつりを調べる会」が
平成16年度以来
これらの石塔を調べてきました。
平成20年発行予定の博物館調査報告誌「自然と文化」に
結果報告すべく執筆中です)
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