昨年、夏休みのサマースクールで地域の小学校で学ぶ教育相談等で関わっているお友だちと平塚盲学校の児童とが平塚市博物館のプラネタリウムを見学しました。その時の子どもたちの様子がとても印象的だったと、この「宇宙連詩」のお誘いを受けました。
当初、視覚に障害がある小学生の子どもたちが「宇宙」という壮大で認識しにくい対象のものをテーマに詩をつくることができるかとためらいました。しかし、平塚市博物館の沢村さんやJAXAの山中さんと打ち合わせを重ねるうち、「宇宙そのものをうたわなくても」・・・子どもたちの身近なでき事や感じたこと、楽しかったこと・・・「子どもたちのどの言葉もすべて宇宙に繋がっている」とおっしゃっていただき、子どもたちの自然な言葉がなにより素敵な詩になると信じ挑戦することにしました。また、連詩の合同学習を通し、大勢のお友だちと心をあわせ一つのことを成し遂げる楽しさを味わうことも大変良い学びの機会になると思いました。
クラスで最初に連詩の話をした時、どんな言葉が返ってくるだろうとドキドキしていました。視覚に障害があり、夜空に浮かぶ星を見たことがない子どもたちでしたが、今まで本やテレビで見たこと、聞いたこと、そこから自分でイメージしたことをちゃんと言葉で表現できたのです。驚きと嬉しさでいっぱいになりました。また、全盲の児童が弱視の児童につられ、月の話をした時、表面的な知識だけでなく、宇宙や自然を肌で感じてほしいと思い、自分で経験したことを素直に言葉で表すよう話しましたところ、見えている私たちではとうてい思いつかない、とても素敵な言葉が飛びだしてきました。
連詩づくりに取り組み、子どもたちがこんなにも宇宙、そして私たちの地球に興味・関心を持っているという素敵な発見をさせていただきました。
連詩づくり当日はほどよい緊張感の中、友だちの詩を聞き、自分の詩を発表する子どもたちの一人ひとりが輝いて見えました。
完成した詩が宇宙ステーション「きぼう」に保管されることは、これからさまざまな課題に立ち向かっていく子どもたちにとって勇気と希望を持ち続けるエールとなることでしょう。一緒に連詩に取り組んだ担当の教員も同じ想いでいます。この素晴らしい機会をくださった平塚市博物館とJAXAの方々に大変感謝しています。
(神奈川県立平塚盲学校小学部 野毛美穂 玉腰美貴子)
私たち聖ステパノ学園の子どもたちと「宇宙連詩」との出会いは平塚盲学校の子どもたちとの交流がきっかけでした。
子どもたちは宇宙の事にあまり触れた経験がなく、今回が始めてのようなものだったので、実際に「宇宙連詩」が作れるかどうかとても心配でした。しかし、連詩や宇宙ステーションのことを図書館やインターネットで調べたり、平塚博物館でお話を聞いたりするうちに、少しずつ宇宙を身近に感じることができるようになり、「私たちにもできるかもしれない!」という思いが子どもたちとともに私の中でも大きくなり、それならば連詩づくりに挑戦してみようと最初の一歩を踏み出しました。
完成した詩は子どもたちの「思い」を存分に生かした、詩のつながりが流れ星のように流れる個性豊かな連詩になっていると思います。
(聖ステパノ学園小学校 池田太理)