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博物館にある地質関係の野外展示

平塚市博物館公式ページ

最終更新 2000年6月
博物館にある地質関係の野外展示

西丹沢の岩石
東丹沢の岩石
富士の溶岩
箱根の神代杉
縄文時代の敷石住居址
中央地下道から産出したタブノキ
チャート(赤碧玉)
珪化木


西丹沢の岩石(駐車場前)
   産地:山北町丹沢湖水没地域
   地層:丹沢層群 塔ヶ岳亜層群
   時代:中期中新世 約1600〜1700万年前
   提供:神奈川県企業庁

  西丹沢の岩石は海底火山活動による火山灰や火山礫が堆積・固化した凝灰岩類と、みかげ石の仲間であるトーナル岩類、及び凝灰岩が熱や圧力を受けて形成された変成岩類の三つに大別されます。プレートテクトニスからの研究で、丹沢は三宅島のような伊豆小笠原弧の海底火山として生まれ、フィリピン海プレートに乗って移動し、本州に衝突したものと考えられています。この海底火山から生まれた岩石には、海底火山の噴出物である火山灰・火山礫・火山岩塊が固化した凝灰岩類、玄武岩〜安山岩の溶岩、溶岩が破砕した砕屑岩(ハイアロクラスタイト)などがあります。深成岩であるトーナル岩類は伊豆小笠原弧の海洋地殻が溶けて生まれたマグマが700万年ほど前に貫入し、地下深部で固化したもので、カリウムに乏しいみかげ石(トーナル岩)となりました。変成岩類は従来、トーナル岩の貫入により熱や圧力を受けて生じたものと考えられてきましたが、深成岩の貫入に先立って、プレート運動により凝灰岩が地下深所へ運ばれ、変成岩となったと言う考えもあります。

  

東丹沢の岩石(駐車場西側)
   産地:清川村落合 宮ヶ瀬湖水没地域
   地層:丹沢層群 大山亜層群及び煤ヶ谷亜層群
   時代:中期中新世 約1200〜1500万年前
   提供:神奈川県企業庁
 東丹沢は、丹沢を構成する丹沢層群の中では、最上位の地層からなります。宮ヶ瀬ダム水没地の岩石は、西丹沢の岩石と比べて、変成岩がほとんどなく、トーナル岩も少なく、大部分が凝灰岩類と火山岩類からなります。凝灰岩は粗さにより細粒凝灰岩・粗粒凝灰岩・火山礫凝灰岩・凝灰角礫岩と区別されます。火山岩類には玄武岩や安山岩が見られるほか、溶岩の破砕したハイアロクラスタイトもよく認められます。また、富士溶岩は桂川に沿って大月市猿橋まで流れているので、相模川の河原でも見いだすことができます。

  

箱根の神代杉(樹齢700年)(駐車場側)
   産地:箱根町仙石原終末処理場
   地層:神山山崩れ堆積物
   時代:3100年前
   寄贈:神奈川県西湘下水道整備事務所
 神山山崩れは約3100年前に起こった神山の崩壊で、早川をせき止め芦ノ湖を出現させました。この山崩れ堆積物中には神代杉が多数産出しており、芦ノ湖の生い立ちを物語っています。屋外展示している神代杉は、仙石原終末処理場の建設の際に多量に見つかったものを譲り受けたもので、樹齢700年ほどあります。外輪山の丸岳付近から仙石原を見ると、神山が崩壊してできた扇状地地形がよく分かります。この山崩れに先立って大涌谷の冠ヶ岳が貫入し、火砕流を噴出しました。大涌谷は、箱根火山の最新の火山活動の名残をとどめています。
  

縄文時代の敷石住居趾(駐車場側博物館入口)
   出土:平塚市岡崎 上ノ入遺跡(岡崎小学校)
   時代:縄文時代後期 約4000年前
   石質:複輝石安山岩(根府川石)

 この敷石住居は昭和50年に行われた上ノ入遺跡の発掘調査で見いだされたもので、小田原市根府川から産出する根府川石を住居の床に敷き詰めています。縄文時代から根府川石が利用されていたことがわかります。根府川石は箱根火山の古期外輪山溶岩の一つで、斑晶が少なく緻密であり、板状に割れる性質(板状節理という)をもっています。この板状節理の特性を生かして、根府川石は石碑や塀基礎によく利用されています。市内各地でもこの根府川石を利用した石碑や石塀が数多く認められます。

  

中央地下道から産出したタブノキ
       (駐車場側博物館入口横)

   産地:平塚市錦町 中央地下道 地下5.1m
   地層:沖積層の海浜砂礫層
   時代:約2000年前
 1964年(昭和39年)、平塚駅西の中央地下道の工事の際、地下 5.1m(標高2m)から長さ4m程の巨大な埋もれ木が発見されました。博物館の駐車場側にある敷石住居の後側の外壁沿いに、置かれている大木が、それです。
 磯村(1967)の記述によると、この埋もれ木は標高2mの砂層より出土し、材質の同定の結果タブノキであることがわかりました。樹齢は300年ほどのようです。放射性元素を用いた炭素による年代測定の結果では、1950±50年前(西暦1950年を基準とする)という値が得られています。産出した地層は砂礫質であり、海浜に堆積した地層であることは間違いありません。とすると、この木が産出した東海道線付近は、約2000年前には海浜であり、漂着物としてタブノキが打ち上げられたことになります。 東海道線沿いには標高10m程の微高地が連なり、砂州であったことがわかっています。この地点から現在の海岸線までは1.4㎞あるので、単純に計算すると700m/1000年の速度で海岸線が前進していったことになります。
文献:磯村(1967)  平塚市文化財調査報告書 7,39-64.
   

チャート(佐渡赤玉石・赤碧玉)(駐車場側入口)
   産地:新潟県両津市赤玉
   時代:古生代二畳紀〜中生代古期
   寄贈:内沢忠三郎氏

 チャートは放散虫という珪質な微化石が深海底で堆積したものです。鉱物的には、微細な石英(玉随)よりなり、多量の酸化鉄を含み、赤みを呈します。佐渡のチャートは緻密な朱赤色の色調が特徴で、佐渡赤玉石として観賞用飾り石や水石、庭石として珍重され、昭和40年頃まで採石されましたが、現在では採集禁止になっています。
 現在庭石としてよく利用されるチャートは、秩父中古生層と呼ばれる地層(秩父帯)に含まれるチャートで、群馬県鬼石町三波川などで採取されたものです。秩父帯は石炭紀から二畳紀あるいは三畳紀に形成された地向斜堆積物と考えられてきましたが、現在ではジュラ紀を中心とした頃のプレートの沈み込みに伴い海溝付近で堆積した堆積物といわれています。

  

珪化木(駐車場側博物館入口)
   産地:岩手県二戸郡一戸町
   地層:白鳥川層群四ツ役層
   時代:前期中新世 約1500〜2000万年前
   寄贈:内沢忠三郎氏

 珪化木は木の幹の細胞中に水に溶けた珪素が入り、内容物と置換し、全体がメノウやオパール化した材の化石です。日本では岩手県や福井県のものが有名で、庭石や置き石に利用されます。岩手県一戸町の珪化木は有名で、「姉帯・小鳥谷・根反の珪化木地帯」として国の天然記念物に指定されています。中でも、一戸町根反(ネソリ)の大珪化木は、セコイア杉の大木が直立したまま化石になったもので、直径2m、高さ6.4mもあり、国の特別天然記念物に指定されています。この一戸町の珪化木は、博物館入り口(駐車場側)にあるほか、博物館中庭にもあります。



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平塚市博物館 254-0041 神奈川県 平塚市 浅間町12-41
電話:0463‐33‐5111 Fax.0463-31-3949

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