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「街の中の化石探し−ゾルンホーフェン−」
■南ドイツのジュラ紀石灰岩:ゾルンホーフェン
最近、街の中の石材に南ドイツ産のゾルンホーフェン(別名ジュラストーン)という化石の入った石材をよく見かけます。黄色みを帯びた白っぽい板状の石灰岩で、根府川石と同じように店舗やマンション、一般住宅の門前などの床材や敷石として利用されています。
この石材はドイツ南部のバイエルン州ゾルンホーフェン(Solnhofen)から産するもので、ジュラ紀後期(白ジュラ:1.5億年前)の石版石石灰岩です。ゾルンホーフェンのある南ドイツからは、世界に10ある始祖鳥(2個体は行方不明)化石全てが産出しており、その他にも、アントリンポス(エビ)・魚・カブトガニ・アンモナイト・浮遊性のウミユリ(サッココーマ)・トンボ・ナナフシなど、およそ1000種の化石が産出しています。サンゴ礁のラグーンに静かに堆積した石灰岩と考えられており、トンボの薄い羽根も完全な形で保存されるなど、化石の状態が非常に良いことが特徴です。また、このゾルンホーフェンの石灰岩は、リトグラフ(石版印刷)に使用され、リトグラフ発祥の地ということで、始祖鳥の学名
Archaeopteryx lithographica にリトグラフの名が付いています。
平塚市内で見られるこの石材をよく観察すると、2〜3cmのアンモナイト、浮遊性のウミユリ(サッココーマ
Saccocoma )はたくさん見ることができます。あるところでは、10cm大の魚の化石が含まれていました。シダの植物化石のように見えるもの(下画像)は二酸化マンガンが割れ目にしみ出した、忍石(デンドライト)と呼ばれるもので、化石ではありません。ゾルンホーフェン石灰岩にはトンボなどの昆虫やエビなども含まれている可能性が大きいので、是非、探してみてはいかがでしょうか。
なお、ゾルンホーフェン石灰岩の化石については、2006年6月23日、テレビ朝日の「タモリ倶楽部」で放映されました。
▲ゾルンホーフェン石灰岩を使った敷石(平塚市内) |
▲アンモナイト化石 |
▲浮遊性ウミユリ(サッココーマ) | ▲浮遊性ウミユリの密集部 |
▲忍石(デンドライト) | ▲魚の化石 |
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