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海の砂

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最終更新 2006年6月

「山から海への砂の旅」

海の砂


海浜砂は河川によって上流から運ばれ海岸に堆積し、沿岸流によって移動します。主に酒匂川と相模川によってもたらされる相模湾岸の海浜砂は下図のように、砂粒子の種類から3つのグループに区別できます。
■早川以南の海岸 
  早川以南には大きな河川がなく、箱根火山を削って流れる急勾配の小河川が相模湾に注ぎます。この海岸では礫浜が多く、砂浜は小規模ですが、真鶴町岩、湯河原町吉浜などにあります。いずれも箱根火山や湯河原火山の安山岩溶岩、スコリアなどを主体とする砂です。酸化した煉瓦色の溶岩砂が含まれていることもあります。鉱物としては斜長石やカンラン石が含まれています。
■酒匂川河口〜江ノ島までの海岸
 
酒匂川河口から江ノ島までの相模湾岸には大きな河川として相模川しかありません。この間の礫の大きさや礫種分布、砂の組成をみると、酒匂川から東方に向かって砂が移動運搬されていると考えられます。磯はほとんどなく、堆積海岸が続きますが、小田原御幸ヶ浜〜国府津海岸にかけては礫浜的であり、二宮〜大磯〜平塚〜茅ヶ崎〜藤沢へと細粒化します。
 この地域では、酒匂川及び相模川から運ばれた丹沢起源の凝灰岩類・火成岩類、富士火山の溶岩類及びスコリアが顕著です。特に酒匂川は2300年前に富士火山からの御殿場泥流を運んでいるため、酒匂川河口でも箱根火山の溶岩砂や丹沢系の岩石砂よりも、著しく富士溶岩砂に富んでいます。
 一方、相模川は小仏層群由来の頁岩を運び、酒匂川由来の砂との相違が見られます。
■江ノ島以東の相模湾岸
 
江ノ島以東では磯浜が多いものの、藤沢市片瀬東浜、鎌倉市腰越・由比ヶ浜・材木座海岸、逗子市逗子海岸、葉山町森戸・一色・大浜・長者ヶ崎、横須賀市久留和・秋谷・荒崎・長浜、三浦市和田・三戸・横堀・荒井浜の砂浜が並び、海水浴場となっています。三浦半島の地質は深海に堆積した泥岩が主体でスコリアなどの凝灰岩が頻繁に挟まれています。従って砂粒子も三浦層群などに由来する黒色のスコリア片が多いという特徴があります。岩礁性の貝殻片が比較的含まれています。鎌倉市由比ヶ浜の砂には原生の有孔虫がかなり認められます。鉱物としては石英・斜長石・カンラン石・磁鉄鉱などが目立ちます。部分的に砂鉄や貝殻片が集中したところもあります。

相模湾岸の海浜砂の分類図
▲相模湾岸の海浜砂の分類
吉浜海岸の景観 吉浜海岸の砂
▲細砂からなる湯河原町吉浜海岸の景観 ▲湯河原町吉浜海岸(溶岩礫が顕著・12倍)
平塚海岸の景観 平塚海岸の砂
▲平塚海岸の景観(高浜台) ▲平塚市袖ヶ浜海岸(凝灰岩と頁岩が多い・15倍)
由比ヶ浜の有孔虫 長者ヶ崎の砂
▲由比ヶ浜の砂に含まれる有孔虫(原生動物で藻に付着・ Elphidium sp.12倍) ▲葉山町長者ヶ崎(貝殻片入り。黒色スコリアが顕著・12倍)

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