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石ころ図鑑 風化と堆積構造

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最終更新 2005年3月

石ころ図鑑  −相模川・金目川・酒匂川流域編−



風化と堆積構造
 

ちりめん状風化泥岩 風化した安山岩
▲ちりめん状風化泥岩 [足柄層群] ▲ 風化した安山岩[箱根火山溶岩]
 山北町谷峨鞠子橋・酒匂川  山北町谷峨鞠子橋・酒匂川
泥岩は細かな割れ目(節理)が入りやすく、特に固結度の低い泥岩ではその傾向が強く、細かなひび割れが無数に入って、風化していきます。こうした泥岩に特徴的な風化をちりめん状風化といいます。 外側と中側とで色合いが異なっています。表面を良く見ると、細かい白色の斜長石の結晶が両者とも同様に入っており、組織の違いはなく、僅かな輝石を含んだ輝石安山岩です。この色調の違いは、岩石の風化によるもので、灰色の新鮮な安山岩の表層が酸化して褐色に変化したものです。
 荷重痕を含む凝灰岩 玉ねぎ状凝灰岩
▲荷重痕を含む凝灰岩
[丹沢層群 煤ヶ谷亜層群 大沢層]
▲ 玉ねぎ状凝灰岩
[丹沢層群 煤ヶ谷亜層群 大沢層]
 清川村宮ヶ瀬・中津川  厚木市七沢
粒子の異なる2つの層の境が不規則に入り乱れています。これは左側の細かな火山灰質泥の上に粗い火山灰が降下堆積した時、またはその後未固結の内に、何かの原因(例えば地震動等)で荷重が均一にかからない時に生じた堆積構造で、荷重痕といいます。右側が地層の上位であることがわかります。 玉ねぎの皮を向くように岩石の表層が剥がれ、丸くなったものです。流域では粗粒凝灰岩に特徴的にみられ、岩石の節理(割れ目)に沿って風化が進み、水の影響を経ず次第に丸くなっていったものです。岩石の粒子が粗くなるほど玉ねぎが大きくなります。
流痕を持つ凝灰岩 斜交葉理を持つ凝灰岩
流痕を持つ凝灰岩
[丹沢層群 大山亜層群 本谷川層
▲斜交葉理を持つ凝灰岩
[丹沢層群 煤ヶ谷亜層群 大沢層]
 松田町寄・中津  清川村別所・谷太郎川
堆積物の底面につけられた流れによる跡です。水流により堆積物上の礫などが引きずられ、堆積物表面を細長く削り取り、その後新たな地層が堆積したとき、その地層の底面に凸の構造を作ったものです。いろいろな形態がありますが、写真のような直線状の溝はグルーブ マークといいます。 層理面に直交した断面に、火山灰粒子の配列した細かな縞模様が見えます。これは斜交葉理といい、水流によって粒子が運ばれたことを示します。この岩石は表層が風化してやや褐色を帯びていますが、青味のあるデイサイト質細粒凝灰岩です。斜交葉理がみられることは、細粒火山灰が噴火により降下堆積したものではなく、水流によって本来堆積した場所から二次的に運ばれたことを意味しています。


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