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石ころ図鑑 火成岩の仲間(丹沢火成岩類4)

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最終更新 2005年3月

石ころ図鑑  −相模川・金目川・酒匂川流域編−



火成岩(丹沢の火成岩類 4)

 

粗粒玄武岩 粗粒玄武岩
▲粗粒玄武岩 ▲粗粒玄武岩
 愛川町田代平山橋・中津川  津久井町青野原・道志川
典型的な粗粒玄武岩を接写したものです。斑晶と石基が区別できず、やや細かな結晶から全岩がなっていることがわかります。白色の斜長石と黒色の輝石と角閃石がほぼ同量含まれています。全岩細粒な結晶からなる岩石は半深成岩といえます。 青黒い緻密の岩石で、細かな結晶のみからなり斑晶と石基が区別できません。左写真の粗粒玄武岩に比べて細粒ですが、結晶はほとんどが斜長石と輝石からなります。
角閃石石英閃緑岩 黒雲母角閃石トーナル岩
▲角閃石石英閃緑岩 ▲黒雲母角閃石トーナル岩
 山北町谷峨鞠子橋・酒匂川  山北町山市場・河内川
ゴマ塩状の粗粒の結晶からなる岩石です。全岩粗い結晶からなり(完晶質という)、地下深所でマグマがゆっくり結晶したことを示しています。こうした岩石は花崗岩の仲間ですが、丹沢のこの種の岩石にはカリ長石を含んでいません。従来は石英閃緑岩と一括されてきましたが、厳密な分類ではカリ長石をほとんど含まず、石英を少量しか含まない石英閃緑岩と、カリ長石をほとんど含まず、石英を20%以上含むトーナル岩とに区分されます。白色の鉱物のうち、白濁したものが斜長石、やや透明のものが石英ですが、この岩石では石英は10%程度しか含まれません。黒色の鉱物は角閃石で、黒雲母はほとんど見られません。 石英を30%程含み、トーナル岩に属します。黒色鉱物に角閃石の他に黒雲母がかなり含まれています。黒雲母は風化して褐色になりますが、薄く剥がれる劈開を持つので良くわかります。写真では黒いやや大きな角閃石の周囲にある細かな黒い結晶がそれです。西丹沢に広く分布するトーナル岩体は大きく西側の畔ヶ丸型と東側のユーシン型に分けられます。ユーシン型は有色鉱物が少なく、石英斑晶が大きいのが特徴とされます。畔ヶ丸型は岩相変化に富み、石英を多く含むトーナル岩・色指数(有色鉱物の割合)が10以下と低いトロニエム岩・石英を僅かしか含まない石英閃緑岩と様々です。
含捕獲岩トーナル岩 トーナル岩(接触部)
▲含捕獲岩トーナル岩 ▲トーナル岩(接触部)
 山北町谷峨鞠子橋・酒匂川  山北町谷峨鞠子橋・酒匂川
ゴマ塩状のトーナル岩中に灰色の礫状の岩石が取り込まれています。この礫状の岩石は捕獲岩と呼ばれ、トーナル岩のマグマに周辺の結晶片岩や玄武岩などの既存の岩石が取り込まれたもので、熱により変成しています。 黒っぽい岩石と白色の岩石とが直線的に接しています。黒い岩石は細粒で緻密な角閃岩、白色の岩石はトーナル岩で、角閃岩中の片理に沿ってH型にトーナル岩が貫入しています。丹沢のトーナル岩体には優黒質なものから優白質なものまでいろいろあります。貫入時期がいくつかの時期に分かれており、一般的に後期ほど珪酸分に富み、白っぽくなるといわれています。大きな岩体として畦ヶ丸岩体とユーシン岩体が知られています。



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