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最終更新 2006年9月

「平塚の活断層−伊勢原断層−」


■ 伊勢原断層
 平塚市域にはいくつかの活断層が走っています。活断層とは生きている断層で、今後も継続して活動することが予想される断層をいいます。ここでは活断層調査が行われている伊勢原断層について紹介します。
 伊勢原断層は、平塚市岡崎の台地(伊勢原台地)の西側の縁、鈴川の低地との境に走っています。伊勢原台地の西縁に続く直線的な崖は、この存在を示しています。この断層は北方に延び、伊勢原市日向〜厚木市七沢〜清川村煤ヶ谷に至る活断層です。この断層の活動履歴や活動度については、東京大学地震研究所や神奈川県によって何度か、トレンチ調査やボーリング調査が実施されています。その結果、この断層は、東側が西側に対して隆起する逆断層で、 千年に約0.3−0.4mの割合で上下に変位するものと考えられています。平塚市岡崎・赤坂で、断層をまたいで行われたボーリング調査では、地表より15m程は湿地性の泥炭質なシルト層ですが、海抜0m位以深は貝殻を含む海成の砂層でした。断層を挟む2地点での地層の高度を見ると、海成層の上面や泥層中に挟まれるスコリア層の高度が 1.6m程食い違っています。この高度差は断層による変位と考えられています。貝殻や腐植物による年代測定から、6000年〜1100年前の地層を変位させている事が明らかにされました。しかし、江戸期の宝永年間に降下したスコリア層の高さには変化がないので、平安期以降江戸期以前に断層が活動したものであると推定されています。その後の調査結果を基にして、現在、伊勢原断層は1回の上下変位量が1.5—1.7m、平均活動間隔が4千−6千年程度と考えられています。最新の活動時期は5世紀以後、18世紀初頭以前(平安時代元慶2年(878年)の相模・武蔵地震との説もあり)と推定されています。

 文献: 松田時彦他(1988) 東京大学地震研究所彙報 63, 145-182

伊勢原断層遠景 伊勢原断層近景
▲伊勢原台地の西縁に走る伊勢原断層(平塚市岡崎)
▲伊勢原台地の西縁に走る伊勢原断層(平塚市岡崎)
伊勢原断層による変異量
        ▲伊勢原断層による変位量 (松田他1988による)

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