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民俗探訪会
相模湾の民俗 第18回 「葉山町堀内~横須賀市秋谷」 2012年10月17日

 葉山町の堀内・一色から横須賀市に入り秋谷まで歩きました。コース前半は庚申塔が多く、地蔵や阿弥陀を主尊とした塔や、玉蔵院の三猿の雄雌が区別された塔など珍しい庚申塔を見ることができました。後半は、子産石のふるさと秋谷で、横須賀市市民文化遺産指定の子産石をはじめ、民家の門柱や庭などに置かれた子産石を見ることができました。
 秋谷ではたまたま出会った元魚屋の方から、今の海がいかに汚れ魚介類が減ったかを教えていただきました。魚が捕れなくなったのはいくつもの要因が複合しており、宅地造成のために山の木を伐ったり工場が排水を流したりするために川が汚れたことや、魚の捕り過ぎとアワビやサザエなどの密漁などを挙げられ、今の海は死んでしまっていると嘆かれていました。傍目にはきれいに見える横須賀西海岸の海も、長年海と向き合って暮らしてきた人にすれば昔とは雲泥の差なのでしょう。国道134号線ができて一晩中明るくなったため、相模湾では定置網に魚が入らなくなったとも言っていました。海の環境について考えさせられたひとときでした。また、久留和漁港では組合員の方から覗突漁の話を聞きました。ここではボウチョウといい、箱眼鏡を口で押さえ、左手で櫂を操作し、右手で10mもの竿を突いてアワビやサザエを捕る漁で、たいへんな技術を要する漁法です。久留和漁港で捕れた魚はすべてトラックで佐島へ運ばれます。次回はその佐島を訪ねます。

★行程:逗子駅-葉山小学校前バス停~<一色>玉蔵院~森山神社~葉山しおさい博物館(昼食)~<秋谷>子産石~久留和漁港~浄楽寺バス停-逗子駅 参加者14名

子守地蔵尊 実教寺の庚申塔 玉蔵院の庚申塔1
子守地蔵尊(堀内)
 
いぼ・ものもらいに利益ある地蔵尊で。完治したら浜辺の小石を奉納する。「右うら賀・左やま道」と刻む天保2年立の地蔵尊道標もある。
実教寺の庚申塔(一色)
 向かって右から2基目は地蔵が主尊の庚申塔で、「妙法」の文字を刻み、元禄9年造立。
玉蔵院の庚申塔1(一色)
 阿弥陀如来が主尊の庚申塔で、元禄年間造立。
玉蔵院の庚申塔2 森山神社の世計神事 森山神社境内の船玉神社
▲玉蔵院の庚申塔2(一色)
 寛文5年の庚申塔で、三猿にオスメスのシンボルがはっきりと表されている。銘文の「庚申成就三當」とは、年に6回の庚申待で一當となり、三年で庚申供養が成就するため三當と刻み、庚申塔を造立すると考えられている。
森山神社の世計神事(一色)
 世計神事の結果、平成25年は豊作、天候は北風晴の日多しと占われた。
 
森山神社境内の船玉神社(一色)
 祠内に大黒様の像が祀られている。
神明社の庚申塔 長者ヶ崎 子産石
神明社の庚申塔(下山口)
 向かって右端の庚申塔は天明元年造立で、大きさが2m近くあり彫りも見応えがある。
長者ヶ崎(秋谷)
 葉山町と横須賀市との境。
子産石(秋谷)
 秋谷の久留和海岸から産出する丸石で個人宅に祀る。女性が子産石をなでた手で腹をさすると懐妊するなどといわれる。
子産石に奉納された石 久留和海岸 民家の敷地に置かれた子産石
▲子産石に奉納された石(秋谷)  
 子授け祈願と安産のお礼が石に記されている。
▲久留和海岸(秋谷)  
 かつてはこの海岸から子産石が産出したが、海岸工事の影響で現在は採取困難のようだ。
▲民家の敷地に置かれた子産石(秋谷)
庭石に使われている子産石 久留和漁港 民家敷地の子産み石
▲庭石に使われている子産石(秋谷)
 
▲久留和漁港(秋谷)
 佐島の大楠漁協管轄。
▲民家敷地の子産み石(秋谷)

★次回:2012年11月21日(水) 「相模湾の民俗 第19回」 横須賀市秋谷~長坂  

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