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台風の来襲で実施が危ぶまれましたが、スピードを上げて通過。青空が広がり暑くなりました。海風を受けて快適に歩けました。ただし風は強く波は荒く、漁船は一艘も出ていませんでした。海岸へ降りると砂ツブテに襲われ顔が痛くなりました。
今回の探訪で印象に残ったのは、逗子市郷土資料館と森戸神社の子宝石。資料館では職員の方に建物の構造などについて説明していただきました。建物の中は風通しが良く、内部の凝った意匠に目を見張りました。樹木に囲まれた周囲のたたずまいも素敵でした。
森戸神社境内の水天宮に子宝石が一対祀られていました。石碑には、子宝石は横須賀市秋谷の久留和海岸に産出する子産石と呼ばれる石で、子供の欲しい人は、この石を撫でつつ自分の腹をさすって祈願を込めれば子宝を得る云々と刻まれています。小さな子宝石を借りていくことができ、子宝を授かった夫婦は石に赤ちゃんの名前と出生年月日を記してお返しします。驚かされるのはびっしりと奉納された子宝石の数。ちらっとのぞかせてもらうと、今年や昨年に奉納された石ばかり。赤ちゃんの体重を記したり、「ありがとうございます」のお礼の言葉を添えたりした石も。子授け、安産の祈願は人が生きている限り、ぜったいに廃れないでしょう。子どもは神さまからの大切な授かりものであり、出産はいくら医学が進歩してもやはり危険を伴うため、神仏の力を借りようとするのは人としてごく自然な行為といえましょう。ところで森戸神社の子産石は秋谷の久留和海岸から産出した石です。次回探訪会は秋になりますが、子産石の産地である秋谷を訪ねます。子産石の民俗に注目したいと思います。
★行程:逗子駅~<逗子>亀岡八幡宮~延命寺~<桜山>逗子市郷土資料館(昼食)~<堀内>葉山漁港~清浄寺(昼食)~森戸神社~真名瀬漁港~バス停・芝崎-逗子駅 参加者15名
▲亀型の絵馬 逗子の亀ヶ岡八幡宮にて。社名は境内の地形が亀の甲羅に似ていることにちなむともいわれる。 |
▲亀の置物 亀ヶ岡八幡宮の拝殿前で一対の石亀がにらみをきかせる。 |
▲蘆花記念公園内の逗子市郷土資料館 資料館の建物は大正元年築、徳川家達の別邸としても使われた。蘆花と郷土の資料を展示している。 |
▲逗子市郷土資料館の庭 涼しい風が吹き抜け、いつまでもいたくなるような心地良い場所でした。 |
▲鐙摺から逗子湾の眺め |
▲葉山港 台風の翌日のため、たくさんの遊漁船が港に係留されていた。 |
▲森戸神社境内のおせき稲荷 古来から咳が止まらない人や喉を使う職業の人たちの篤い信仰があるという。 |
▲森戸神社境内の水天宮 子宝を求める人の信仰が篤い神社。 |
▲水天宮内の子宝石 男の子が欲しい人は向かって右奥の大きな子宝石を触り、女の子が欲しい人は左の子宝石、どちらでも良い人は両方触って子宝を祈願するという。 |
▲持ち帰り用の子宝石 この小石を持ち帰り御守りと一緒に毎日祈願すると子宝が授かるという。 |
▲奉納された子宝石 子宝を授かった人は借りた石に子供の名前と出産年月日を記してお返しする。 |
▲子宝石の碑 昭和3年から堀内に住んだ雪中庵東枝の「まいられよ 子宝の福 さずかりに」の句碑(昭和50年建立)。 |
▲水天宮に奉納された絵馬 犬張子とでんでん太鼓が描かれた子授け祈願用の絵馬。 |
▲真名瀬漁港 |
▲真名瀬漁港からの眺め 手前に竜宮社の鳥居が立つ名島、その後方に江ノ島の灯台を望む。 |
★次回:2012年10月17日(水) 「相模湾の民俗 第18回」 葉山町一色~横須賀市秋谷
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