1991年9月「相模川の生い立ちを探る会」で、平塚海岸の砂浜地形を観察していた際、見慣れない漂着軽石が暴風時にしか波のかぶらない後浜に多量に打ち上がっているのを見いだしました。この日は台風18号の直後で、漂着軽石が列をなしていることから、その時打ち上がったものであろうと思われました。この軽石は、相模湾岸でふだん良くみる箱根火山の軽石と異なり、灰白色をなし、2〜4mmの斜長石や単斜輝石の大型斑晶が顕著で、しかも黒色の玄武岩質の捕獲岩が必ず取り込まれているという特徴を持っていました。その後の調べで、この軽石は小笠原の南硫黄島の北にある福徳岡の場という海底火山から1986年1月に噴出されたものであることがわかりました。噴火4ヶ月後に琉球列島に漂着し、その後黒潮に乗って太平洋岸の各地にもたらされたようです。 また、昨年、新島産と思われる流紋岩質軽石質溶岩や給源不明の軽石が漂着物を拾う会などによって相模湾岸で多量に見つかっています。こうした漂着軽石からも海流の動きをさぐったり、堆積物の移動・堆積する過程を知る手がかりになります。 | |
相模湾での小笠原起源の軽石の漂着(森他1992) | |
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