76年7月より86午12月までの月別黒点群数,黒点数,相対数の観測結果は表1のとおりである。これより全面の相対数についてグラフにしたものが図1,河北別の相対数についてグラフにしたものが図2である。これらのグラフは細線が毎月の相対数を現し,大線が前後12ケ月の移動平均の値である。
図3は大陽面緯度を縦軸にし,出現日を横軸にとった,各黒点群の出現緯度分布を記した蝶々図である。緯度分布は中央経度近辺時で発達した時の緯度を主に用いたが,短命な微小黒点や欠測が続いたときは出来るだけ位置制度の高い観測を用いた。
図4から図7も蝶々図であるが,図4は横軸を長くとり個々の黒点群の緯度分布をより明瞭に出すことを試みたものである。図5は緯度分布が5度以上に及ぶ大型の黒点群のみ抽出したものである。図6は緯度分布が5度以下の中小黒点群,図7は緯度分布がほとんどない微小黒点群の蝶々図である。
これらの観測結果から第21活動期の活動状態を見ていくことにする。
太陽面全面の相対数変化は図1の移動平均のグラフより,大きく分けて77年から78年末にかけての急激な増加期,79年から81年末までの極大期,82年から84年末までの下降期,85年からの極小期の四期に見ることが出来る。
増加期
図2の南北別のグラフでは,北半球の活動が南半球と比較して早く活発化し,79年に活動の極大を迎えた。南半球は北半球より3~5ケ月程度遅れたが,活動の増加は急で78年末から79年の初めにかけて最初の極大を迎えた。
図4の蝶々図では中緯度から高緯度,低緯度に広がって分布して行くようすがわかる。南半球では大型の黒点の分布は比較的少ない。また,図7で南半球の微小黒点も少ないことがわかる。
極大期
北半球は79年半ばに極大となりその後は81年末まで増減を繰り返しながらも緩やかに下降した。南半球は79年前半と79年末から80年半ばにかけて増減を繰り返し,北半球よりも活発な活動を見せた。また,北半球で79年半ば,南半球で80年半ばに活動の低い時期が見られた。この間の黒点群の緯度分布を見ると,図6の中規模以下の黒点群は北半球では10度以下の低緯度の分布が見られた。南半球で低緯度黒点群が顕著になるのは80年以降であり,北半球とは約1年の差が見られた。大型群は79年末から80年前半にかけて両半球で活発な出現を見た。微小黒点は北半球において79年の半ばに顕著な減少が見られ,活動の停滞と重なっている。
なおチューリッヒ天文台の確定値によると,今期の極大は1979、9である。
下降期
図1の全面の相対数の動向を見ると,82年以降大きく減少しているが,ほぼ12ケ月程度の周期変動を伴っていることが見てとれる。これは図2の南北別相対数において,移動平均値が南北でほぼ同位相で変動しているようにも見られる。同様に図5の大型群の蝶々図からもほぼ12ケ月周期で,出現の多少を見てとれる。また蝶々図で興味深いのは,出現緯度が変動している点である。活動のピークでは出現緯度が高くなり,減少時は低くなっている。これは中小黒点群,微小黒点の蝶々図にははっきりとは認められない。北半球の黒点群の出現緯度分布が南半球のそれと比較すると,緯度で5度程度広い点も見られた。
極小期
85年以降は活動が低調となり,極小期の様相を呈してきた。北半球では86年の1月から3月にかけて活動が落込み,南半球では86年の4月から9月まで非常に落ち込んだ。図4の蝶々図においても84年半ば以降の黒点分布がまばらになっている。大型群の出現の減少も顕著である。南北別に見ると,出現分布が北半球は赤道近くに集中したが,南半球は10度前後の緯度帯に集中した。 黒点数データセンター(Bruxelles)の発表によると今期の極小は1986.7である。
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