太陽黒点活動第23周期の概要

大型黒点群の出現とその活動について


 第23活動期開始の1996年5月から終了の2008年12月までに観測した大規模な黒点活動を表4にまとめた。大型群の判別は、黒点群がEかF型、あるいは黒点群の黒点数が20以上のもの、としている。
 活動期の初め数年は高緯度に大型の黒点群の出現がよく見られるが、23活動期は30度を超すような緯度に観測された群はなかった。図6の大型群のみの黒点群出現緯度の分布をプロットした蝶型図を見ると、22、23期に比べ蝶の羽の立ち上がりが低くなっていることが見て取れる。
 大型群と、太陽活動の主要な指標である太陽表面の爆発現象、太陽フレアの規模を表す指標としてアメリカの気象衛星GOES による分類が一般に用いられている。GOESの帯域( 約1~10 keV)で、X 線のピーク強度が10−6~10−5W/m2 であるものをC クラス、10−5~10−4W/m2 をM クラス、10−4~10−3W/m2 をXクラスとしている。非常に強い強度の太陽フレアであるX クラス以上は二桁のX クラスで表されるが、観測された大型群のうち、Xクラスのフレアを起こしたものを表に加えた。これによると、23期では2003年11月4日に観測史上最大のX28という爆発現象を起こしたフレアが特筆される。この他にも2001年4月2日のX17、2001年4月2日のX17 、2005年9月7日のX17.1 、という巨大フレアが観測された。これらはみな巨大な黒点群を持つ活動領域で起こっている。黒点相対数のグラフからも明らかなように黒点の極大は2000年から2001年だったが、大きな太陽フレア活動の極大時期は2002年から2003年にあるように思われる。



表4
大型の黒点群

図6
黒点群出現緯度の分布
(大型群のみ)

写真2
1998年3月3日
高緯度黒点とXクラスのフレア

写真3
2002年7月26日
大型黒点と7月23日に
X4.8のフレアを起こした活動領域

写真4
2003年10月29日
大型黒点と11月4日に
X28の観測史上最大規模の
フレアを起こした活動領域

写真5
2004年7月23日
低緯度の大黒点とフレア

写真6
2006年12月5日
X9.0のフレアを起こした活動領域と黒点