太陽黒点活動第23周期の概要

第23期スケッチ観測の集計


 第23活動周期における平塚市博物館の黒点相対数月別平均値の一覧を表3に載せた。相対数は「黒点群数×10+黒点数」という式で算出し、太陽活動の指標として用いられる値である。
太陽黒点の活動周期は、通常は極小から極大を経て次の極小までをひとつのサイクルとする。極小と極大はSIDC(Solar Influences Data analysis Center)の確定した相対数値によって決定されるが、移動平均を用いるため決定は過去にさかのぼるのがふつうである。第23周期の終了時期は本稿執筆中まだ確定されていないため、暫定的に2009年12月までのデータを扱うことにした[1]表2にはこのうち経度幅が10度以上にわたるか、あるいは黒点数が20以上になる大型の群を抽出した。
 

 図1は、観測開始(1976年)以来の月別相対数平均値をグラフ化したものである。太い実線は前後の6ヶ月ずつを加えた移動平均を示す。縦軸が相対数の大きさ、横軸は時間で、相対数の推移を表している。同様に、図2ではそれを南北の半球別に示した。また図3では周期の始まりとなる極小を起点に、3つの周期の相対数の増減を重ねてみた。
 スケッチ観測では、黒点数および群数に加え黒点群の出現経緯度を測定している。図5は緯度のデータをプロットしたもので、横軸は時間である。周期の進行段階に応じ出現緯度も周期的に変化し、プロットが南北対称に翅を広げた蝶の形を形成することから、これを「蝶型図」と呼びならわしている。図6には、同じ手法で表2に掲げた大型群のみをプロットした。
 これらによって第23周期の活動の概要を述べてみたい。


[1] 2009年末にはすでに活動の上昇が観測されており、先立つ2008年に新周期の活動と見られる活動域が出現しているので、極小は2009年もしくはそれより前の時期になるものと推測される。


図1
月別平均相対数の推移

図2
月別平均相対数の推移
(南北別)

図3
第21~23活動周期の相対数比較

図5
黒点群出現緯度の分布
(蝶型図)

図6
黒点群出現緯度の分布
(大型群のみ)

表2
観測された高緯度黒点
(緯度30度以上)

表3
月別平均相対数